前巻感想はこちら↓
https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/03/19/235027
妹と妹、そこに加わる従妹は妹の範囲に入るのか。漢字に妹は入っているけれど。
さて、始まりとなる前巻では男女愛と家族愛のすれ違いについて語ったかと思うが、今巻では一体何を描くのか。
その答えは、男女愛に関しての因子を増やす事でのラブコメ方面での方向性の拡充、である。
しかもその新たな恋敵はこれまた見事に強敵だったという方向である。
そのヒロインの名は美咲。菫と椛の従妹でありプロゲーマー、そして転校前の隼人の同級生であり彼の何気ない一言に救われ彼に惚れた、という属性の数え役満かとツッコミたくなるような存在である。
菫と椛とは違い、振り回したりもせず。それどころか隼人と同じ趣味を持つからこそ気も合うし話も合う。唐突に現れた恋敵は、一瞬にして二人を追い抜いていくのではないだろうかという程の強敵で。
そんな強力な恋敵を前に菫と椛が取った方策。それは一時休戦、からの共闘である。
二人でいがみ合っている場合ではない、今は協力して敵に当たるべき。
その方向性のままに、隼人に家族写真の名目で写真を撮ってもらい際どい所まで攻めたり。
家族全員で出かけた時には、運動中にちょっと天然な所を装ってみたり。
そんな二人に振り回されながらも未だ全く気付いていない隼人は何をするのか。父親との向き合いも一段落した彼の願いは只一つ、本当の家族になる事な訳で。
だからこそ、菫と椛にプレゼントする為に初めてのバイトを頑張ったり。引き留める二人を前にうしろめたさを感じたことに、まだ真の家族になりきれていないと反省したり。
それは確かに二人を見ているという事。だけどそれは、二人の望んだ見られ方ではないという事で。
「私も絶対に負けられないんだ。ごめんね」
だからこそ、美咲は再び心に恋の炎を燃やし、菫と椛に宣戦布告を突き付ける。彼の事が大好きなのは私も同じ、だからこそ譲れないし負ける気はないと。
始まりの前巻、始動の今巻。ここから本当の意味でこの作品が始まる、それは間違いない。そして、ラブコメに外部からのヒロインが新たに加わる事で、より深みを増し熟成されていくのも確かである。
前巻を読まれた読者様は是非。家族愛と男女愛のすれ違い、鈍感な少年と健気な少女のラブコメが見たい読者様も是非に。きっと満足できるはずである。