読書感想:弱小国家の英雄王子2 ~最強の魔術師だけど、さっさと国出て自由に生きてぇぇ!~

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:弱小国家の英雄王子1 ~最強の魔術師だけど、さっさと国出て自由に生きてぇぇ!~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、英雄王子、の名にふさわしく、普段は三枚目ながら肝心なところでは二枚目、なこの作品の主人公、アレン。彼が引退したいのなら、そもそもさっさと国を捨ててしまえばいいのではないか? と画面の前の読者の皆様も思われたかもしれない。実際、国なんぞ知った事か、と何もかも投げ捨てて逃げ出して、自国が滅ぶのを何処かで見てればいい、のかもしれぬ。

 

 

だけどそれが出来れば苦労はしない。そしてそれが出来ない、何故なら誰かの涙を見逃せないから。だからこそ今日も戦場に立つアレンの元へ、新たな問題が舞い込んでくるのが今巻なのである。

 

「・・・・・・ねぇ、なんで救出対象の賢者の弟子がこっちの味方してんの?」

 

前巻で捕虜にした、魔法国家のトップ、賢者の弟子であるジュナ(表紙右)。彼女を取り戻すために魔法国家が戦争を仕掛けてくるも、何故かアレン達に味方したジュナに追い返されて、ジュナは何故かアレンに懐いていると言う状況に首を傾げたりしながら。少しだけ穏やかな時間を過ごす中、新たな厄介事がくる。それは帝国の皇女様から。無事味方に出来たレティア国と神聖国が戦争しているので手助けして欲しい、というもの。言ってしまえば関わる必要もない戦争、しかしほとぼりを覚ます為という理由で出かけさせられ。女性主権の国家であるレティア国の王妃、エレミスと関わったりしつつ。しかしその戦争は、不意に不穏を見せ始める。第三勢力である魔法国の参戦、姿を消すジュナ。つまりこの戦争は最初から、ジュナを狙い仕組まれていたもの。さて、ここからどうするか。捕虜を失うのは痛手だけど、別に失って困る、というわけでもない。

 

「ここは俺らしく、俺達らしいことをしよう」

 

「だったら、俺達馬鹿は悲劇の姫様のために拳を握るだけだ」

 

そしてこれ以上は、今度は自分達から戦争を吹っ掛ける事になる。―――だけど、それがどうした? 泣く女の子がいる、悲劇の姫様がいる。ならばやるべきことは一つ。拳を握って覚悟を決めて。白馬の王子でも目指して突撃あるのみ。

 

ジュナの友人であった聖女、アイシャとその騎士、クラリスの率いる神聖国と協力し魔法国の領土内へ侵入し。魔法国の非道な実験の被害者である子供達を助ける方向に向かえばレティア国まで介入し。その果てにアレンを遠ざけようとするジュナと、意地の張り合いで激突する事となり。

 

「だから、素直になりゃいいんだよ」

 

しかし、やるべきことは只一つ。飾らぬ本心を聞き出し、素直にさせる事。切り札の一つを解禁し、殴り合って本音を聞き出して。ジュナを取り戻し、黒幕もきっちりぶっ飛ばして。国としての支援を得る事にも成功し、結果として丸く収まる、事にはなるも。やっぱり戦争からは逃げられぬのである。

 

より世界観が広がり面白さを増す今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

弱小国家の英雄王子 2 ~最強の魔術師だけど、さっさと国出て自由に生きてぇぇ!~ (オーバーラップ文庫) | 楓原こうた, トモゼロ |本 | 通販 | Amazon