読書感想:憧れの美人生徒会長にお喋りインコが勝手に告白したけど、会長の気持ちもインコが暴露しやがった

 

 さて、インコやオウム、言葉を覚えるペットというのは一種の可愛いものである、というのは飼育した事のある読者様であればご存じであろう。しかし鳥、というのは飼うのは大変であるのかもしれぬ、普通のペットよりも。脱走でもしたら探し出して捕獲するのが一番大変な部類であるのかもしれぬ。

 

 

そんなペットであるインコのピーちゃん(表紙左)。彼がキューピッドとなり、同時にかき乱すトリックスターになっていくのがこの作品なのだ。

 

「す、凄いな君!」

 

けん玉が得意、ということ以外は平凡な少年、優斗。 彼の通う高校には成績優秀、文武両道、カリスマ性◎な高嶺の花な、生徒会長の先輩、凛緒(表紙右)がいた。一見すると繋がりがない二人。しかし二人にはけん玉で繋がった一種の師弟関係があった。 そして優斗の中には凛緒への仄かな思いがあって。実は壊滅的な不器用で、周囲からの重圧に耐えていた凛緒の中にも優斗への思いがあって。いわば二人は両片想いな関係だったのである。

 

「ああもう、こうなったら自棄だッ!」

 

そんなある日、ピーちゃんが脱走してしまい。慌てて探しに走る優斗の元に、凛緒と共に保護されていたピーちゃんが姿を現し。まるで爆弾発言かの如くいきなりバラされたのは、お互いの気持ち。なまじ言葉を覚える知能があるからこそ、二人それぞれの思いを吐露する言葉を記憶してしまっており。 自棄になった凛緒が半ば暴走気味に告白してきて、二人は恋人同士になる事に。

 

 

では、この二人のお付き合いとはどんなものになるのか。 それは正にカオス。混沌に混沌を重ねていくようなもの。 誰も知らなかった、凛緒が激辛好きだったり、某おバカなラノベのヒロインが如く、料理を作ったら化学兵器になってしまうという事を知ったり。

 

「オネエサマ アレヲツカウ」

 

「ええ、よくってよ!」

 

生活に困窮する風紀委員、はるの内面に迫ることになったり、級友である龍磨のバイトしている猫カフェに遊びに行ったり。凛緒のファンクラブの会長、真琴とクイズで争う事になったり。 市長主催のけん玉大会で、ピーちゃんとの合体技を披露してみたり。

 

「だって俺は、先輩の彼氏なんですから」

 

正に色々起きて、毎日がドタバタで。だけど確かに深まっていく絆がある。恋人同士として、少しずつ成長していく。

 

「ピーちゃんはもう喋らないで!!」

 

けれどやっぱりピーちゃんにかき乱されて。中々うまくいかずにカオスになっていくのである。

 

正にコメディ、ドタバタ感が楽しいこの作品。笑えて楽しめる作品を見てみたい方は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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