読書感想:冰剣の魔術師が世界を統べる6 世界最強の魔術師である少年は、魔術学院に入学する

 

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読書感想:冰剣の魔術師が世界を統べる5 世界最強の魔術師である少年は、魔術学院に入学する - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、原作ではレイの過去を描いた後は新学年編へと早々に進んだ今作品であるが、今巻よりはオリジナルの展開、という事で今巻はエリサの過去にも触れながら、優生機関が遂に本格的に動き出す、新たな戦いの始まりを予感させてくる巻なのである。

 

 

では今巻の感想を書いていく前に、画面の前の読者の皆様はこうは思われたことは無いだろうか。「冰剣の魔術師が世界を統べる」、この文言にはどんな意味が込められて言うのだろうか、と。それはレイしか知らぬ秘密。その秘密の一端も今巻で明かされるのである。

 

聖なる夜を祝う聖歌祭、その前に冬を迎えようとしている町にいつもの面々で繰り出したりして。そんな中、レイはふとエリサが浮かない顔をしているのが気にかかる。今年のお祭りの舞台であるエルフの国で明かされたその理由とは、実は彼女はエルフの国の王女であったという事。エルフの国につくなり手厚く歓迎され、だが王女という事も相まって望まぬ縁談を押し付けられそうになり。アメリアの母親等、ヒロインの親世代や燐光の魔術師、マリウスと面通ししていたレイを、咄嗟に恋人だと紹介してしまう。

 

「はい。自分が―――エリサの恋人です」

 

一度は戸惑うも、咄嗟に状況を飲み込みその嘘に乗ることを決め。衝撃を受けた周りを何とか説き伏せ、恋人としてのアドバイスをリディアに求めたりして。しかしそんな彼の事を、よく思わぬ者もいる。エリサを心配する第三王女、キャシーがアメリア達も使って次々と試練を投げかけて来て。その全てに、これでもかと最適解を返していくレイ。

 

 だが、状況は既に知らぬ所で大分不味い部分まで来ていた。優生機関の手は既にエルフの国の王族にまで食い込んでいた。エルフの国随一の戦士、ラルド王子との決闘の最中、突然王子は本性を明かし。その裏で国は魔物の襲撃を受け、エリサが浚われてしまう。

 

裏で糸を引いているのは王弟であるシリル、そして「冰剣の魔術師が世界を統べる」という言葉の本当の意味を知る優生機関。その場を駆け付けたアビーに任せ、エリサが浚われた「聖域」へとアメリアと共に乗り込む中、「優生機関」の手の者、ビアンカを抑えるためにアメリアが残り、レイは一人、シリルと対峙する。

 

敵が使うは非道な手段で奪った、数々の魔法。外法を用いるその力、手数の多さはレイ以上。だが彼には、頼れる仲間がいる。

 

「あぁ。一緒に戦おう」

 

「うん!」

 

友との和解を果たし、過去を乗り越えたエリサがレイの隣に立ち発動させるのはエルフの秘術。強力な後押しを得た彼の魔法が、負ける道理は何処にもない。

 

だが、全てはもう始まっている。巡り来る新たな季節、別れもあれば後輩として入学してきたステラやオリヴィアとの出会いもあり。

 

しかしここからが本番なのだろう。既にいつも舞台の裏にいる優生機関は表に出始めている。なれば激突は避けられぬのだから。

 

根幹の秘密が一つ明かされ、更に面白さ深まる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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