読書感想:モブから始まる探索英雄譚 6

 

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読書感想:モブから始まる探索英雄譚5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、頼れる仲間達や気の置けない友人達と共に冒険を繰り広げ、意中の相手である春香と一歩ずつ進むラブコメをしているこの作品であるが、画面の前の読者の皆様もそろそろ知りたいかもしれぬ頃であろう。海斗は何故、こうも厄介事に愛されるのか、と。どんな状態でも厄介事に愛され気が付けばいつも修羅場の中にいるし、更には格上の狂的との死闘ばかりを強いられる。一体なぜ彼は、そんなにも人生に厄介事ばかりなのか。主人公の宿命と言ってしまえばそれまでかもしれないが。

 

 

確かに宿命ではあるかもしれぬ、けれど決して彼が望んだものではない。というのが分かるのが今巻なのである。

 

「そうだよな~。当たり前だよな」

 

来るべき一大イベント、バレンタイン。そわそわしつつも無事に春香からチョコを貰えて、シルやルシェに訝しがられたりしながらダンジョンに潜る中、突き付けられるのはモンスターもまた生き物であると言う事実。精霊であるドリュアスの魅了を食らってしまった事で改めてそれを実感し、改めて受け入れ。また今日もダンジョンに潜っていく。

 

「ご主人様は因果の調べというものをご存じでしょうか?」

 

進み続ける事で得ていくものがある。バルザードの更なる進化、レアなジョブの獲得。だが彼が行きあたるのは幸運だけではなく、三体の悪魔に同時に襲われるというまた絶体絶命の状況に襲われる。何とかそれを乗り切り、シルから教えられたのは一つの衝撃的な事実だった。

 

それは海斗が気が付かぬ間に、ダンジョンを創り出した創世の神の試練を課されていたという事。望んでいた訳でもないのに押し付けられていたそれは、進んだ先に何が待っているのかも分からないもの。だが因果の調べに仲間も含めて皆で乗っているらしい。つまりは誰一人仲間が欠けてもそれは乗り切れず、未来においても仲間達と一緒にいるという事実の証明。

 

「俺達みんなでパーティだろ。誰も欠けちゃだめなんだ」

 

そして今、ダンジョンを潜る理由がまた一つ増える。連絡を取ってきた光梨の父親から知らされたのは、病気により光梨の時間がもうわずかしか残っていないという事。希望を賭けられるのは、ダンジョンの深くでドロップする霊薬だけ。ならばやる事は決まっている。それを手に入れる為に、何処までも突き進むだけである。同じ因果の中にいるのなら、彼女は絶対に必要だから。そして何より仲間を助けたいから。だからまた思いを固め、再び先を目指していくのだ。

 

更なる強敵、更なるレベルアップ。また一つ少しだけ面白さを深める今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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