読書感想:私のことも、好きって言ってよ! ~宇宙最強の皇女に求婚された僕が、世界を救うために二股をかける話~

 

 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。皆様は「宇宙人のヒロイン」と聞いて誰を連想されるであろうか。某MF文庫の作品のヒロインを連想される読者様は、割かし古のオタクであるのかもしれない。そんなジェネレーションギャップはおいといて、宇宙人というのは時に地球人よりも進んだ力やら科学力を持っている場合が多い。そんな存在とラブコメをするとどうなるのか。それ即ち、ハラハラで命がけになる場合も多いのである。

 

 

「・・・・・・私と結婚しよう」

 

ごく普通の平凡な少年、悠人。チャラ男である友人の進の女性遍歴に呆れの溜息をついたりしながらも送る平凡な日々はある日、公衆の面前での初対面の相手からのキスと求婚という驚天動地の事態で破られる。

 

 求婚してきた相手、それは銀河最強と恐れられる軍隊を持つリベルガスケット星の皇女、アイヴィス(表紙左)。中立の星として認識される地球を、支配又は滅ぼすと言う目的のために来訪した彼女に一目ぼれされ。だがそれは悠人にとっては望むところではなかった。何故ならば彼には先日付き合いだしたばかりの彼女、叶葉(表紙右)が存在していたからである。

 

しかしアイヴィスの機嫌を損ねてしまっては、地球の滅亡は確定。あっさり袖にする事も出来ず気が付けば各国首相からも頭を下げられ。更には混乱を防ぐため誰にも言えないと言う条件を課され。気が付けば同じ高校へ転校、更には彼の暮らす部屋にまで押しかけてきた彼女との生活は容赦なく幕を開ける。

 

バレたら滅亡、当然いうわけにもいかぬ。地球の様々な事に興味を示し我が道を突き進むアイヴィスに振り回されながらも、初めてできた恋人である叶葉との絆を深めるための触れ合いも欠かせずに。二律背反、思いは違えど実質的にその状況に追い込まれ。悠人は秘密の二股関係を両立させる事を強いられる。

 

だがそんな日々は、只の高校生、しかも女性経験のない普通の少年に維持できるわけもない。悠人の誕生日という記念すべき日に、二人が遂にバッティングしてしまい。二股をかけた者という汚名と共に、二人ともの関係は断ち切られる。

 

失意に沈む悠人に、身近にいた別の宇宙人から告げられたのはアイヴィスの母星のあり方とそのキスの意味。アイヴィスを害するための人質として悠人は攫われ、更に叶葉までも巻き込まれてしまう。

 

自分達よりも強い力を持つ宇宙人の前、問われるのは愛。何を貫くべきか、どう筋を通すべきか。折れてしまっても仕方ないかもしれぬ。だがそれでも、と。悠人は見事に覚悟を示して見せ、それに応えるようにアイヴィスは恐るべき力を見せつける。

 

「―――私のことも、好きって言ってよ。ユート」

 

その心の中、確かに存在するのは変化を導いた愛。この愛だけは譲れない、だから負けられない。故にここから始まるのである。戦いの第二ラウンドが。

 

ドタバタとシリアス、その中に確かな愛のあるこの作品。真っ直ぐな愛を見てみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

私のことも、好きって言ってよ! ~宇宙最強の皇女に求婚された僕が、世界を救うために二股をかける話~ (電撃文庫) | 午鳥志季, そふら |本 | 通販 | Amazon