読書感想:リモート授業になったらクラス1の美少女と同居することになった2

 

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読書感想:リモート授業になったらクラス1の美少女と同居することになった - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、言うまでもない事であるが物事には始まりがあれば終わりがある。というのは今更語るまでもないだろう。その事実を示すかのように、今、現実世界では再びもう何波目かも数えるのも面倒なほどに流行の兆らしきものがちらほら見え始めているが、事態そのものは少しずつ前進を始めているのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。少しずつリモート体勢も解かれ、街に人も増え始め。既に世の中はかのウイルスと共存していく方向へと歩き始めているのである。

 

 

それはこの作品においても、例外ではない。唐突に始まった叶多と遥の同居生活もいつまでも続くわけではない。緊急事態宣言が解かれたら、寮が再び開いたら。やはりそれは終わりとなるものなのである。

 

「私は、バレてもいいけど」

 

リモート授業にもクラスの皆が慣れ始め、少しずついつものクラスの景色が見え始めていく中。少しずつ焦りを覚え始めた遥は、叶多へのアプローチを強め、叶多もまたそれに振り回されていく。いっそバラしてしまおうか、という彼女の提案に思わず心が揺れてしまう。

 

 だがしかし、そこに水を差す存在が現れる。それは遥の歳の離れた妹である真悠。遥の両親の差し金により、遥の手伝いをすると言う名目で彼女が派遣され。しかし歳の割には聡明であった彼女に叶多は何とか受け入れられ。期せずして同居人がもう一人増えた生活が幕を開けるのである。

 

当然それを聞いて心穏やかでいられる遥ではなく。真悠には隠しながら、という背徳感を醸し出しながら叶多へとぐいぐいと迫り。だがそれはちょっとしたすれ違いと暴発未遂を招き、少しだけ二人はすれ違い。けれど真悠の子供らしい強引な後押しにより、ゼロ距離で向き合う事で仲直りし。少しだけ二人の絆は強くなる。

 

「・・・・・・帰りてーな」

 

しかし運命の時はやってくる。宣言の終わりにより叶多は寮の自室へと戻り。だが住み慣れた場所と、遥がいないという事に一抹の寂しさを覚え。思わず口を突いて出るのは、ホームシックな匂いのする言葉。

 

「もちろん。だって私は吉野くんと―――叶多とそう思われたいんだもの」

 

 だが、寂しさだけでは終わらない。同居生活と言う一時の経験が確かにもたらしたもの。それは確かに変わった二人の距離。まるで歩くような速さで、少しだけ変わったものも確かにあるのである。

 

恋の深まる音がする、確かに物語としての深度が深まっていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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