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読書感想:顔さえよければいい教室 1.詩歌クレッシェンド - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、つまらぬ大人の世界に反逆を突き付けるというこの作品の趣旨を前巻を読まれた読者様であればご理解されているであろう。つまらぬ価値観の破壊、それは一つの世界だけではない。新たな世界への破壊に挑み、そして楽斗や詩歌たちの人間関係が更に広がっていくのが今巻なのである。
「実は俺の知らぬ間に覚醒して、ダンスをマスターしてたり・・・・・・?」
「しない」
前巻の騒動から結成された、通称「渋谷軍団」。運命共同体となった彼等に、新たな難題が突然舞い込む。それは学園からのお知らせ。それはミュージシャン学科の期末考査にダンス動画の投稿が必須となったというもの。言うまでもなく引きこもりである詩歌を始めとして、ダンスは専門外である門外漢ばかり。身内にダンスに得意なものがいないからこその絶体絶命、そこを乗り切るために早速行動を開始する。
「話が早くて助かる」
声を掛けたのは、ダンス学科の首席である竜姫(表紙)。活発で陽キャラなボクっ娘である彼女は彼等の音楽に惹かれていたとあっさりと承諾し。詩歌に曲を作って欲しいと言う条件を何とか妥協してもらい、狛江に曲を作らせると言う条件でレッスンをお願いする事に成功する。
勿論、そう簡単にいくわけがない。竜姫と違い彼等はダンス初心者であるのだから。一つ一つ、こつこつと練習を重ねていく中で、楽斗は先輩である依桜に知恵を仰ぎ。彼女とのスパーリングの中で、ファッション学科の有力者を味方につけろというアドバイスを貰う。
だが、ここからが波乱の始まりである。ファッション学科の首席、亜寿紗に協力を仰ぎに行ったところ、他学科の生徒であり竜姫の過去を知ると思しき生徒、千石の陣営と諸被りしてしまい、亜寿紗に審査期間を設けられることになり。審査の結果、彼女は千石の陣営に味方する事になってしまう。
なぜ自分達では届かなかったのか。その原因を探る中で知っていくのは、竜姫が抱えた事情。ダンスの外側からでは見えぬ問題、そこに只一人、敢然と立ち向かっていく彼女の抱えたもの。
「今度はわたしの番」
だが、その根底にある「音」は詩歌の心を確かに揺らしている。彼女の色を感じ取り、そこに魅せられた詩歌は彼女に協力する事を選び。
「悪を以て、悪を制す。俺たちの巨悪で、たっぷりとあいつらにわからせてやりましょう」
なれば後はフィクサーである楽斗の仕事。悪に対するは正義か。否、そんなもの名乗れるほど清廉潔白な訳はない。悪を為して悪を討つ、巨悪で悪を塗りつぶす。意表を突いた策であっさりと勝負を決め、詩歌の音で竜姫は舞い。その裏で楽斗は協力を願った依桜と共に後始末を付けるのである。
さらに世界と人間関係が広がる中、より深く面白くなる今巻。前巻より更に増した面白さを見てみたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
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