読書感想:サキュバスとニート (2) ~くえないふたり~

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:サキュバスとニート ~やらないふたり~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前作であるシコルスキこと「賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求」シリーズを読まれた読者様であれば、作者様の事は何となくお分かりであろう。そしてお分かりであれば、かの有象先生の作品はギャグが二巻からブレーキが壊れるというのは何となくお分かりであろう。つまりはそういう事である。まさかの二巻、ここからギャグが更にキレ始めるのである。

 

 

勝手にギャグにしたネタの分だけ切腹しなければならぬとしたら、有象先生のライフは十個単位で削られているのかもしれない。そう言いたくなる程に、もはや捕捉しキレぬ程のギャグが迸る今巻のキーパーソンとなるのは誰か。

 

「そして行き着いた先が、ここでございます」

 

 それこそは新たなヒロイン(?)、和友の部屋に放置された召喚陣から現れた乃艶(表紙左)。彼女は「飛縁魔」と呼ばれる妖怪であり、今まで奈良の山奥で生活してきたと語る極度の世間知らずの少女である。

 

そんな彼女をイン子は威嚇するも、放り出す訳にもいかず。結果的に居候を認め、乃艶も加えて新たな日々が幕を開ける。

 

ある時はイン子と乃艶が散歩してれば職質されたり。自転車の練習をしていればまた警察のお世話になったり。イン子が琥太朗のコンビニで初めてのバイトに励んだり。和友が合コンに行ったり体調を崩して乃艶と茉依に看病されたり。ドタバタに溢れた賑やかな日々の中、乃艶の様子に時折不穏を感じながらも乃艶は徐々に家に馴染んでいく。

 

 が、しかし。退職し企業を目指そうとする茉依が情報に触れられぬほどに、乃艶に関する情報は集まらなかった。それは何故か。それは「飛縁魔」が淫魔が足下に及ばぬ程の危険な怪異であり、山奥に隔離され生活していたからである。

 

淫魔とは違い、精が生存に必須。だからこそ淫魔よりも力が強く、その気になれば傾国を簡単に成し遂げるほど。 乃艶を討伐に退魔師達が動き出す中、迎えに来た乃艶の母親が語るのは彼女が生まれた目的。「飛縁魔」にとっての希望、だがそれは国にとっての絶望。

 

 それをさせるわけにもいかぬ、だが別れも許容しない。ならばどうするか。乃艶に手を伸ばし助ける事は問題の先送りにしかならぬとして、ならばどうするか。

 

「知るかボケ!!」

 

だがそんな事は和友やイン子には関係が無い。未来の事は知った事ではない、分かる訳もない。明日は明日の風が吹く、だからこそ信じるだけ。未来は何とかなる事を。

 

伝奇的要素が更に深まり、其れの倍以上にギャグが盛り込まれる中、やっぱり最後はいい話で〆る今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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