前巻感想はこちら↓
読書感想:ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい3 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、このシリーズの感想を書くのも久しぶりな気がするが、それもその筈。前巻が発売されたのは一年と一か月前である。まさか打ち切り、絶筆か、と思われた読者様もおられるかもしれない。しかし安心してほしい。この感想を書いている通り、続刊しているので。前巻までのストーリーがどうだったか覚えておられぬ読者様は、是非上記の前巻の感想を先に見ていただきたい。
さて、ではここからは前巻までのストーリーを把握済みという前提の元に語っていくが、前巻のストーリーの中で、花梨側の恋心は徐々に、萌芽の兆を迎え始めているところまでは明かされている。
その思いを抱く彼女が見つめる相手である龍之介。崇拝、親愛にも似た感情を抱いている彼が恋心を抱いていない訳があるだろうか。彼の中にも思いはある。まだそれが名前がついていないだけで。
「夏が過ぎても・・・・・・花梨先輩は可愛いですね」
夏休みが明け二学期、時節としてはハロウィンが迫る頃。夏休みが明けても変わらぬ龍之介の褒め殺しに、相も変わらずアウトの判定が響き渡り。そんな中、真衣から貰ったチケットで二人きりで水族館デートに出かけ。はしゃぐ花梨の姿を見る度、龍之介の心の中に何か言い知れぬ感情が湧きおこる。「ヒット」と言えばそれだけ、しかし果たしてそれはヒット、という言葉で言い表せる感情なのだろうか。
もはや言うまでもないだろう。龍之介の心と言うボールを花梨のバットは中々打てず、だが打てた時にはクリティカルと言わんばかりに心を揺らしていく。だからこそ、いつからか気付いていなかった心の中、花梨への恋心は確かに芽生えていたのである。
「俺も・・・・・・好きです、花梨先輩」
花梨の声音に感じた新たな変化、彼女の声の二面性を混ぜ合わせたような新たな一面。そう感じてしまうのは何故か。風邪をひいてしまい精一杯に看病され、ハロウィンパーティで猫耳姿の花梨に萌え。賑やかで姦しい日々の中、何故彼女の声に変化を感じ、けれどそれが説明できないのか。その答えは、龍之介の心の中に浮かんだときに、すとんと落ちるかのように腑に落ちる。それは彼女へ抱く想いが変化したと言う事、恋が本格的に目を覚ましたと言う事。
一方向の矢印は双方向に、あとは歩み寄るばかり。だが、周りの少女達もまだ諦めきれていない。後輩である星菜はその筆頭。例え叶わぬと半ば分かっていても、その思いは譲れない。
きっとこの先、やってくるのは聖夜の季節。きっとそこに全ての答えが待つのかもしれない。
シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい4 (電撃文庫) | 五十嵐 雄策, はねこと |本 | 通販 | Amazon