前巻感想はこちら↓
読書感想:わたし、二番目の彼女でいいから。 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれた読者様は画面の前にどれだけおられるであろうか。読まれたと言う読者様は、どれだけ情緒を破壊されたか、頭の中を弄られたかと言うのは覚えておいでであろうか。理性すら押し潰してくるかのようなドロドロの感情が、まるで激流が如く押し寄せてくる。そんな激重な感情が醸し出す修羅場と混沌は、果たして二巻である今巻では少しは収まるのであろうか。
そんな甘い考えを持たれている読者様がおられるのならば、申し訳ないが予め言わせていただこう。その予想は、儚く散るという事を。
それもまた、当然であるのかもしれぬ。何故ならば、桐島と早坂さんの関係に、前巻の最後で橘さんも参戦してしまったから。近くにいる「本命」、そして「二番目」。そんな思いが恋心の箍を外し暴走させていくのが今巻の展開なのである。
「うん、やっぱり桐島くんだ、最高の桐島くんだ」
橘さんの接近に、散々に早坂さんの心に傷がつき、そこからまるで破傷風のように恋心は膿みだし。愛情は歪みだし、まるで壊れていくかのように。どんどんと桐島に縋りついていく。
「こうやって強引にされるの、すごくいい。もっとしてよ」
その裏、橘さんはまるで妖花のように妖しくも甘い魅力で桐島を搦めとり。最後の一線は守れど、それ以外は知った事かと言わんばかりに官能的に。二人の距離はどんどんと縮まり、ゼロになっていく。
文化祭も近づき、橘さんの許嫁である柳先輩の思いも巡り、普通な恋がすぐ近くに芽生えていく中。それでもこの歪と不純に彩られた不純な三角関係は止まらない。それどころか、不純で不純を繕うかのように、どんどんと歪と不純を積み重ね、更なる混沌と地獄に落ちていく。
それは、何も選ばぬことによる歪みか、それとも曖昧な関係を続けようとすることによるひずみか。何れにせよ、無理をするのならば何処かで無理は破綻するもの。文化祭のカップルコンテストという最高で最悪の舞台で、それは破綻し噴火してしまう。
「桐島くんを、私と橘さんで共有するの。ダメ・・・・・・かな?」
そして噴火の先、早坂さんの衝撃の提案。それは更なる地獄へ踏み込む合図。不純愛を越えた「何か」へと、踏み込むであろう切っ掛け。
最期の一線はこえねど、更なる濃厚な接触が繰り広げられ。より妖艶に、官能的に。止まらぬどころか、暴走特急が如き勢いで加速していく。
誰もが壊れ、ブレーキの箍を外し、欲望に忠実になっていく。
もう止まらぬ、更に胃痛と頭痛が増していく。もっと頭の中を掻き毟られていく。これは本当に電撃文庫かと言いたくなる程の、不純愛の炸裂する今巻。
画面の前の読者の皆様も、是非かき乱されてほしい次第である。