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読書感想:ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい2 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。この表紙を見てほしい。夏祭りと思しき景色の中、いつもとは違う浴衣と言う非日常的な服装で、どこか照れたように、はにかむような花梨。この表紙からして既に可愛くはないだろうか。もうこの表紙だけ語っていれば良いのではないか、と言いたいけれどそんな訳にもいかないのでここから感想を語っていく事とする。
夏祭り、そして浴衣。ここからもうお分かりであろうが、季節は夏、夏休みである。夏と言えば何であろうか。そう、非日常である。そして非日常は、何かを進めるのにはよいきっかけとなるのである。
「だ、だったら・・・・・・あたしが、龍之介の分もお弁当、作ってあげよっか?」
夏休みが迫る中、花梨が龍之介の分の弁当も作る事を提案したり、只の練習で龍之介が強烈なストレートを花梨に叩き込んだり。いつもの日々は変わらぬように見えて、累積アウトを百個積み重ねる方法に変わる狙い。その裏、龍之介の心に芽生えるよく分からぬふわふわとした強い感情は「ヒット」と呼ばれる概念に代わり。一ヒットが一アウトを消す、花梨からの一撃も龍之介に届くようになり、確かに何かが変わり出す。
「わたしじゃ、ダメですかねー?」
そんな中、ちょっとウザい系、花梨とは正反対な妹、花恋が龍之介に迫るけれど。
「―――先輩は先輩で、妹さんは妹さんだ。ぜんぜん違う」
そんな誘惑もどこ吹く風、やっぱり龍之介はいつも通り。彼の目は花梨だけを見つめている。それは皆で行った海でも、夏祭りの場でも変わらない。
「・・・・・・え、ええと、不束者ですが、あたしでよければよろしくお願いいたします・・・・・・っ!」
だが、確かに変わったものはある。その一つは、龍之介の胸を貫く、花梨からの強烈な一撃。自分のアウトを何個も帳消しにしてしまう程の、満塁ホームランクラスの一撃。
もう一つ変わった事。それは花恋も参戦した龍之介を取り巻く恋模様。彼の心が欲しいという、新たな少女も含めた彼女達それぞれの想い。
そして、最後に変わった事。
それは、龍之介といっしょにいる時間が好きなんだと気付いた花梨の想い。もう少し今のままでいいなんて隠してしまうけれど、確かに形を成し始めた唯一無二の想い。
変わり出す想いはどんどん形になっていく。走り出した想いはもう止まれない。 綻ぶ想いはきっと、もう花を咲かせる時を待っている。
確かな変化と、変わらぬ可愛さが温かくて面白いこの作品。
前巻まで楽しまれた読者様、可愛いヒロインが好きな読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい3 (電撃文庫) | 五十嵐 雄策, はねこと |本 | 通販 | Amazon