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読書感想：勇者、辞めます ～次の職場は魔王城～ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、大きな枠組みでの物語が始まった前巻、エピローグ付近でようやく作品の主人公であるレオは「勇者」であることを辞める事が出来た。しかし、だとしても勇者であった時に築いてきた関係が、因縁がなくなるわけではないというのは画面の前の読者の皆様も何となくお察しであろう。そう、先に言ってしまえば今巻の騒動の原因は、レオの過去の行いにあると言っても過言ではないのである。
その黒幕の名はカナン（表紙左）。シュティーナの弟子であり、魔王軍準幹部である死霊術師であり。レオにこてんぱんに打ちのめされ、彼への雪辱を誓う元は敵。
だがしかし、その力はレオには遠く及ばぬ筈であり、決してその雪辱は叶わぬ筈であった。しかし、彼女にもまた運命的な出会いが訪れる。その名は「ヴァルゴ」。おとめ座の名を冠する、という点でもうお分かりであろう。彼は再生能力に特化したレオの同類にして兄弟であり、コアだけになって生き延びていたのである。
エキドナの夢の実現の為に頑張るレオの元、カナンの遺した問題がどんどんと襲い来る。
何故かカナンの部屋がダンジョンと化しており、シュティーナに巻き込まれ調査に出向いたレオを、えっちな罠と予想外の深度という展開が待ち受け。
さらには呪いによりその身を黒く染めた竜達が暴走し、近隣諸国へ襲撃を始め。食材確保も兼ねてリリとエドヴァルドと共に身分を冒険者と偽り救援へ駆けつけ。竜の簡単な倒し方を教えたり、後進の新たな芽の萌芽を見届けたり。次々と襲い来る無理難題を攻略していくレオ。
だが、その時間は長くは続かなかった。カナンの身体を乗っ取ったヴァルゴが暴走した竜達を引き連れ、まるでレオ達を呼び寄せるかのように、レオ達が救援した国の王都を目指し進軍を始める。その心の中にあるのは只一つ。かつてレオと交わした約束、ただそれだけ。
生き延びたのなら、いつか戦闘を。強くなった彼と戦いたい、ぶちのめしたい。その思いに応え、魔王軍の仲間達が見守る中。自分がヴァルゴを復活させたときの為に準備していた秘策を以て迎え撃ち。カナンの事も助けたいと言う我儘も押し通し。魔族も人間も、全てを守りたいと言う己が望みを叶える為、レオは奮戦していく。
「自慢したいんだ。成長した俺と、俺が手に入れた大事な仲間を、家族に自慢したい」
その奮戦が、奇跡を生まぬ訳はない。全てを乗り越え掴み取った皆がいる景色。その中で浮かぶ、新たな願い。それは魔王軍と言う大切な仲間達を得たからこその願い。
新たな願いが生まれ始まる、新しい面白さが生まれていく今巻。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
勇者、辞めます2 ~次の職場は魔王城~ (ファンタジア文庫) | クオンタム, 天野 英 |本 | 通販 | Amazon
