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読書感想:現実でラブコメできないとだれが決めた?4 - 読樹庵 (hatenablog.com)
サテ、ガメンノマエニ、ゼンカイココロオラレタカタハドレダケオラレルダロウカ? 前巻を読まれた読者様はもうご存じであろう。主人公である耕平が「メインヒロイン」であり「ラスボス」でもある芽衣にこれ以上ない程に心折られてしまった、という事を。自分の行く末に待っている景色をこれ以上ない程に見せつけられ、やりすぎという程にまで心を折られてしまった耕平。では、今巻はきっと耕平が今まで築いてきたもの、その真価を問われる巻になる訳であるが、どんな展開が待っているのだろうか。
夏休みに突入し、心折れた耕平は計画を放棄し。失意のままに日々を過ごしながらも勉強合宿へと向かう。普通であればイベント満載、計画にとっては重要な筈のイベント。だがしかし、今の耕平にとっては何も響かず。その裏、置いてけぼりをくらった彩乃もまた、カフェのマスターの言葉に奮起し、耕平の後を追い駆けだしていく。
「そういうこっちゃねーと思うがな」
「お前、気遣いなんてしてねーだろうが。漏れてんぞ」
「道理を捻じ伏せてやり遂げるのがお前の専売特許だろうが」
かつて自分がラブコメを知らしめた相手から突き付けられる、今のまま進んだ場合の未来。己の意思で選択をしろ、お前が築いてきたものは嘘じゃない、だから折れるな、と。叱責にも似た発破をかけられ、こんな時でもどうしてもラブコメを考えてしまう自分を突き付けられ。かつての仲間との邂逅を経て、耕平はもう一度彩乃と向き合う。
「”共犯者”がやりたいんだ、ってワガママを―――一番に、叶えてよ。この、大馬鹿野郎」
「共犯者」だからこその我儘を、彼に巻き込まれ日々を過ごす中で築いてきた思いを。彩乃は真っ直ぐに耕平へぶつけ、お前が始めた物語だ、だからこそ全部叶えて見せろと怒りと共に叩きつける。最後まで責任を取れ、と言葉で胸を殴りつける。
「わからせてやろうぜ。俺たち二人で、ままならない”メインヒロイン”に―――本当の”ラブコメ”ってヤツをな」
胸の中、再び炎が燃え上がる。馬鹿な理屈が、頭の悪い啖呵がどうしようもなく心を立ち上がらせる。これで、いい。これが、いい。再び耕平は立ち上がり、彩乃と改めて共犯関係を結び。遅れを取り戻すかのように、一気に速度を速め駆け出していく。
もう迷わない、立ち止まったりしない。駆け出した先に待つのは、ラスボスとの再戦。果たして二人の思いは、雪辱を晴らす事が出来るのか。
次巻、いよいよ決戦の時。その時が楽しみである。
現実でラブコメできないとだれが決めた? (5) (ガガガ文庫 は 8-5) | 初鹿野 創, 椎名 くろ |本 | 通販 | Amazon