前巻感想はこちら↓
読書感想:男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 3. じゃあ、ずっとアタシだけ見てくれる? - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の最後の局面において、「運命共同体」と言う名の「きょうはんしゃ」となったこの作品の主人公である悠宇とヒロインである日葵であるが、更に一歩踏み込え、「親友」という関係を逸脱した事で、その関係の内実は最早「恋人同士」と変わらなくなった。では、二人の関係は今一つの結実を迎えた今、一体ここから始まる第二部では何を描いていくのだろうか?
その答えはもう、画面の前の読者の皆様もお分かりではないだろうか。「親友」という繋がりを越えた日葵がいるのならば、まだ「親友」のカテゴリに収まっているヒロインがいる。それは凜音。これまでの巻で様々な活躍を見せてくれた、二人目のヒロインである。
そして、あの「メンタルお化け」とまで言われた凛音がそう簡単にあきらめる、なんてことがあるであろうか。そんな訳が無い。まだ諦めきれぬ、という思いのままに、紅葉のせいで半分以下となってしまった夏休みを取り戻す為の日々の中、奇しくも「親友」というカテゴリを生かして悠宇へと迫ってくるのである。
「でも、わたしたち親友だよね?」
日葵に独占なんて許さない、日葵が「親友」であったのなら、同じことをしたって問題にはならない筈。だって「親友」だから。そこに恋と言う思いは無いはずだから。
ある時は夏祭りの場で、またある時は皆で行った海水浴の場で。いっそ小悪魔的に心を揺らしてくる凛音の攻勢にたじたじになりながらも、心を揺らす悠宇。
そして諦めが悪いのは凛音だけか。無論、そうではない。妹が諦めが悪いなら姉が諦めがいい訳はなく。姉である紅葉もまた、再び新たな策を仕掛けてくる。
関係を揺らしたお詫びと言う事で、日葵と引き離す形で悠宇だけが東京に呼ばれ。初めての都会に目を輝かせるお上りさんな悠宇の傍ら、やってきた凛音の姿もあり。
憧れの都会を巡るは初恋の女の子と共に。言った事もない場所、そして二人で泊まった同じホテル。日葵という心の支えが傍にいない中、更に心振り回される悠宇。
そんな彼へと紅葉は、東京のクリエイターに会ってみないかと提案してくる。だがそれは紅葉の新たなる策略。絆ではなく「夢」を折らんとする策略。
「以前の俺を越えるためには必要なことだと思うし」
その策略に、敢えて悠宇は乗り、飛び込んでいく。しかし見せつけられるのは、非情な現実であろう。そして彼の目は、今は「未来」しかみていない。
果たして、来ると言うことは明白であろう新たな盤面を乗り切ることはできるのか。
シリーズファンの皆様はぜひ。
きっと貴方も満足できるはずである。
男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 4. でも、わたしたち親友だよね?〈上〉 (電撃文庫) | 七菜 なな, Parum |本 | 通販 | Amazon