読書感想:クールな月城さんは俺にだけデレ可愛い2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:クールな月城さんは俺にだけデレ可愛い - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で「同居青春小説」というお題目の通りに春夏秋冬をぐるりと一巡りさせる中、主人公である悠と碧の関係は「親友」という関係性へと昇華された、というのは前巻を読まれた読者様であればご存じであろう。この関係の続きを望まれた読者の皆様、今巻の題名を見てほしい。「2」である。つまりは二巻、新たな関係性の扉が開いていく音がする巻なのである。

 

 

二人で初詣に出かけたり、友人である慶介と咲良を交え冬休み最後の日に水族館へ出かけたり。

 

「親友だから、普通の友チョコより豪華にしないとと思って、頑張った」

 

バレンタイン。恋人達の特別な日である日に「親友チョコ」という名目で、碧から手作りのチョコケーキを貰ったり。

 

二年生へと進級し、春になってお花見をしたり。体育祭でご褒美を賭けて二人三脚で碧と一緒に激走したり。

 

 冬から春、季節は巡る中で親友として更に絆を深め関係性の糖度を深めていく二人。そんな二人を、周囲は「恋人」と定義を始める者達が増え始める。そんな目もどこ吹く風と穏やかな日々を過ごす中、その関係に波紋を齎す風がやってくる。期末テストの最終日、咲良から打ち明けられた慶介と付き合ってみようと思うと言う決断。その決断を聞いた碧の心に、疑問と変化の風が吹き荒れるのである。

 

恋人が出来たなら友達は切るべきなのか、一体自分はどうしたいのか。苦労してやっと友達になれたのに、親友になれたのに。今、心の中に浮かぶこの想いは、形にならぬこの欲求は何なのか。

 

「か、彼女に・・・・・・なりたい」

 

 それは、もっとを願う心。生温い関係に甘えていたと言う自覚を経て導き出した恋心。例え壊すと分かっていても、それでも伝えずにはいられなかった恋する思い。

 

思わぬ告白を経て、悠もまた自分の中に流れる思いに向き合い。女性不信と言うフィルターを薄れさせてくれた彼女と、他の女子とは違う存在である大切な存在と本心から向き合っていく。

 

「なんだかんだ、楽しくなってきた」

 

見出した想いと下した決断。それにより得た新たな形。けれど、本質的にはきっと何も変わらない。当たり前の事が当たり前に結ばれただけ。

 

誰かの事を深く理解する日は、永遠に来ないとしても。それでも、どんな名前の関係だとしても、なくてはならぬものだから。

 

「いや、付き合ってるよ」

 

だからこそ、二人の関係は「親友」を越え「恋人」へと行きついた。親友だからこその唯一無二へと、そのラベリングを確かなものに変えたのである。

 

ほとんど変わらぬ日々を積み重ね、それが気が付けば大きな変化の波に囚われ。けれど全てが地続きで。そんな何でもない青春の日々の何気ない温かさと優しさ、甘さが更に深まる今巻。

 

だからこそ私は願いたい。

 

どうかもう少しだけ、いやもっと。二人のこの先の日常が拝めることを。

 

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