読書感想:剣と魔法の税金対策4

f:id:yuukimasiro:20211014223651j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:剣と魔法の税金対策3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、時々どこそこの企業がどこそこの企業にTOBを仕掛けた、というニュースが報道されたりする。では一体、TOBとは何なのであろうか。敵対的買収、というのは一体どんな行為を言うのであろうか? という事を知りたい読者様は今巻を読んでいただきたい。その全てがきっと、分かる筈である。

 

 

前巻で掴んだ確かな成果として、遂に始まる新たな事業。が、そこに待ったをかけるかのように魔王城の各所で設備の稼働不良と言う異常事態が巻き起こる。

 

 その異常事態の裏、糸を引いていたのはかつてこの作品で敵として現れた元魔族宰相、センタラルバルド。更に彼を黒幕として操っていたのは、前巻でも登場した税悪魔、ノーゼ。彼等が仕掛けてきたのがTOB敵対的買収。実質的なクーデター、魔王の座の簒奪である。

 

無論それを許すわけにはいかぬ、というわけで税天使のゼオス召喚・・・とうまくいかず。何故かゼオスは現れず。

 

その理由を語るのは、どこぞのハプシェルを若干マイルドにした感じの、愛天使、ピーチ・ラヴ。クゥ達のゼオスへの想いに感動した彼は語る。彼女は今、自らの始まりを見つけるまで封印される系に処されていると。

 

 いつ封印が解けるとも知れぬ、ならばこちらからいくまで。留守と防衛をクゥに任せ、メイとブルーはゼオスの精神世界、彼女の過去の記憶の世界へと飛び込んでいく。そこで目撃するのは何か。それはブルーの先祖、彼等の騙られぬ歴史の真実。そしてかつて勇者だった頃のゼオス(表紙左)が一体、そこへどう関わっていたのかという事。

 

クゥーラとザイ、かつて相争っていた二人の兄弟。その二人の戦いはどんなものであったのか。兄弟を邪神と変えたのは、一体何だったのか。

 

「『手段を選べない』ときこそ、『手段を選ばねばならない』のです。それに気付けなかったことが、私の後悔です」

 

その顛末を見届け、だが結局何も選べず、それが結果を招いてしまった。後悔から来る始まりを見届け復活するゼオス。彼女を連れ、帰還する現実世界。

 

そこで待っていたのは、敢えて自ら法を犯すという禁忌を犯しながらも最後の一つだけを護っていたクゥ。彼女の言葉、そしてゼオスの宣告と共に全ては覆る。

 

 今巻も何とか乗り越えた、最大の危機。だがその裏、メイ達も知らぬクゥが背負った因縁が渦巻き。税悪魔のノーラの元、過去の王の遺骸は確かに存在する。

 

徴税権や金融法、敵対的買収等の、金融関係の知識も学べる、更に物語が深まる今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

剣と魔法の税金対策 (4) (ガガガ文庫 そ 1-4) | SOW, 三弥 カズトモ |本 | 通販 | Amazon