読書感想:『ショップ』スキルさえあれば、ダンジョン化した世界でも楽勝だ 3 ~迫害された少年の最強ざまぁライフ~

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前巻感想はこちら↓

読書感想:『ショップ』スキルさえあれば、ダンジョン化した世界でも楽勝だ 2 ~迫害された少年の最強ざまぁライフ~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、そろそろもう言う必要もなくなってきたかと思うが、改めて少しだけ振り返り。この世界はファンタジー世界との融合が進みつつある世界であり、文明と治安が崩壊していっている世界である。そんな世界で、皆懸命に生きている。けれど、この世界の混乱に乗じて悪逆を為そうとしている者達がいる。そして今巻もまた、そんな悪役が日呂の前に立ち塞がるのである。

 

 

再生師、鳥本として救った家族を襲った悲劇的事件。それは最近巷を賑わせている暴漢の仕業。大鷹から聞き出したその名は「イノチシラズ」。最近勢力を伸ばし始めた、高級住宅街のみを狙う暴徒集団である。

 

 少しだけ用心の気持ちを持ちながら日呂が新たに始めたのは「ダンジョン攻略請負人」。「変身薬」で袴姿の剣士、シイナ(表紙右)となり。新たに仲間に加えたBランクの使い魔、シキを護衛にソルを間諜に。いきなり目立ちだすシイナ、もとい日呂へと接触してきたのは「イノチシラズ」のリーダー、才斗(表紙左)であった。

 

が、しかし。極悪非道な印象しかなかった才斗は接してみれば、どちらかと言えば「悪一文字」系の芯の一本通った悪人であり。その仲間もまた、気のいい人間揃い。

 

 一体これはどういう事なのか? その答えを才斗は教える。世の中で語られている全ての蛮行は自分達の名をかたる別組織の仕業。そのリーダーの名は刃一。己の旧知の相手であり、因縁の相手でもあるという事。

 

刃一から挑まれたダンジョン攻略勝負のため、シイナの力を借りたいと願う才斗。その願いに応え、シイナとして力を貸す日呂。

 

 だがしかし、既に刃一の悪の魔の手は才斗の周りに張り巡らせている。彼の心を完璧にへし折る為に、幾重にも仕組まれた悪辣なる策が待っている。

 

誰かの心を踏みにじる蛮行、心の弱みにつけこみ自身の側につける鬼畜の所業。

 

「私はあなたのすべてを否定するわ。だって・・・・・・あなたの存在そのものが私の美学に反するもの」

 

 しかし、奴は知らぬ。才斗の側には、強力な仲間であるシイナこと日呂がいる事を。許せぬものは許せぬ、悪を気取る優しき者がいる事を。その行いが既に逆鱗に触れている事を。

 

そう、「仲間」である。似たような境遇を持ち、かつて惚れた相手も同じ。そんな才斗と刃一の運命を分けた差は結局なんだったのか。

 

それこそは、「孤独」を埋めてくれる「仲間」。信用できる仲間がすぐ側にいた才斗、最後まで気付けなかった刃一。だからこそ、今巻の最後の光景は何処か少しだけ、切なく見えるのかもしれない。

 

新たな「ざまぁ」を炸裂させ、ゆく年くる年。果たして、新しい年に待つのはどんな光景でどんな悪か。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。