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読書感想:お嫁さんにしたいコンテスト1位の後輩に弱みを握られた - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の最後のシーンで二人共通の推し声優である真桜から食事に誘われた大翔と優衣奈である。推し声優から二人揃って食事に誘われる、ファンとしては冥利に尽きる、正に人生において一度くらいしかないであろう、宝くじが当選するくらいの可能性かもしれない、とんでもないイベント。そんな一世一代の機会において、このファンの鑑である二人は一体どうするのであろうか。
「最高だな。推しのラジオで話題にしてもらえるなら、戸籍を生け贄に捧げるくらい安いものだ」
「同感です。先輩と結婚する心の準備ができました」
いきなりだが何を言っているのだと思われるかもしれないが、作中で出てくる二人の会話の一例がこれである。二人は一体何をしようとしているのか、と聞かれると真桜のラジオで話題にしてもらうために、戸籍を生け贄にし結婚してしまおうか、と相談し合っているシーンな訳で。
やはり暴走するのも詮無き事か。推しに精一杯喜んでもらうために、精一杯楽しむために。まずはみっともない服装は見せられないと、真桜のラジオの過去回から服の好みを推察し服を買いに行ったり。臨時収入を得るために大翔の家の不用品を優衣奈のフリマアプリのアカウントから出品したり。 推しとの会食の為に、全力を捧げていく。ちょっと行き過ぎではないか、と言いたくなるかもしれない。だが二人にとってはこれが当然の出来事であると信じて、様々な状況を推測しながら二人で準備を進める二人。
そんな中、二人の距離は少しずつ近づいていく。真桜という共通の神的存在を緩衝材として、徐々に二人の時間を増やしていく事で二人の心は近づいていく。
服を選んだり、真桜の為に予定地を下見したり。疑似的なデートを重ね。
大翔の家に訪問したり、二人でお泊りし同じ寝所で寝たり。傍から見れば付き合っているでしょと言いたくもなる、だがこの二人は未だ付き合っていない。まだ優衣奈が攻めていくばかり、面倒くさい大翔はどこ吹く風。
「いや、もちろん、俺たちが付き合っているっていうのは作り話なんだが、将来恋人ができた時の予行演習をしておくのもいいかと思った、というか・・・・・・」
が、しかし。ここまで攻められて変わらぬ心があるのなら、それはラブコメの主人公ではない、と言えるのかもしれない。真桜が急遽出演する事になったイベントを手伝ったり、優衣奈がラジオに投稿したお便りを二人で聞いたり。そんな積み重ねを経て、確かに彼の心も変わっていく。
気が付けばあと一歩、そんな所まで来ているかもしれない二人の関係はどうなるのか。
前巻を楽しまれた読者様、やはりラブコメが好きと言う読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
お嫁さんにしたいコンテスト1位の後輩に弱みを握られた2 (MF文庫J) | 岩波零, 阿月 唯 |本 | 通販 | Amazon