読書感想:七人の魔剣姫とゼロの騎士団2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:七人の魔剣姫とゼロの騎士団 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、昨今の主人公像とは一線を画した、オラオラ系熱血主人公である我等が主人公、ナハト。彼が類まれなる強者であると言う事は、前巻を読まれた読者様であれば既にご存じであろう。

 

だがしかし。上には上がいる、という言葉がある。その言葉の通りこの学園にはナハト以上の強者が確実に存在する。それこそは魔剣姫。上級生であり学園長代理のエレミア(表紙)、影の兵隊を創り出し操る能力を持つ魔剣の使い手、ミルティを始めとした実力者たちである。

 

そして、彼女達の配下である騎士達もまた押しも押されぬ実力者揃い。いくらナハトという、「個」の力が強いとしても「群」の力の前では無力。故に求められるのは、「群」の力。騎士団を創り出したナハトに求められるもの、それ即ち仲間を集めると言う事である。

 

それが簡単にいく、訳もないのは何となく察された読者の皆様もおられるのではないか。それもその筈、ナハトは学園の全てに対して喧嘩を売ってしまったようなもの。故に孤立無援、と言っても仕方ない。

 

 だが、彼はその在り方と無軌道に見えて繊細な進み方で魔剣姫達からの注目を確かに集めている。孤立無援、けれど誰もが彼に注目している。そんな彼の元に集うのは、何れも曲者ではみ出し者達である。

 

団長を喪い瓦解した騎士団の最後の一人、ハオラン。世界で忌まれる宗教の信奉者であり、腕を使えぬという制約を抱える義足のシスター、アンリエッタ。船が大好き過ぎて問題行動を起こし借金を抱えた技師、リッカ。

 

更にはアリアの騎士団との同盟も果たし、一応の後ろ盾も獲得し。ナハト達は初めての戦争へと果敢に挑んでいく。

 

シャーロットの身を賭けて行われる決闘、それは前巻の争乱の後始末でもあり、アンフェアな条件が幾重にも組まれた不利な決闘。

 

「安心しろ。お前のことは、お姉ちゃんが守ってやるぞ・・・・・・弟よ」

 

その中で垣間見え、芽生えるはエレミアの姉性。唯一の肉親である祖父を独占され嫉妬し、だが姉と呼ばれた事で唐突に芽生えた、今までに感じた事もない家族愛。

 

その愛のままに、エレミアは最強であるその力をいかんなく発揮し、彼女に背を押されナハトは決戦へと挑んでいく。

 

 今ここに役者は集い、ゼロの騎士団のお話は本当の意味で幕を開ける。そして、ナハトを取り巻く女性関係はその裏で着実に足を速め進んでいく。

 

「もしも、私がナハトの事を・・・・・・好き、だって言ったら。・・・・・・あなたはどうする?」

 

彼女の告白、それが導く夏の景色は如何なるものか。

 

前巻を楽しまれた読者様、王道熱血ファンタジーがやはり好きと言う読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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