読書感想:魔女学園最強のボクが、実は男だと思うまい

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 さて、「女装して女学園に潜入」と聞くと、画面の前の読者の皆様はどんな作品を思い浮かべられるであろうか。まりあ×ほりっく、だろうか。マリア様がみてる、だろうか。はたまたキミと(以下R18作品につき自主規制)だろうか(チョイスが微妙に古い古系オタクの真白優樹である)。 と、言う前置きはさておき、女学園、即ち女の園というのは男子にとっては憧れの空間であるかもしれないが、実は想像するよりくだらない空間、であるのかもしれない。

 

 

とある異世界、この世界には二つの力が存在する。一つは「魂」。体内に宿る、男性だけが扱うことのできる力。もう一つは「魔力」。女性だけが扱える、外気の中に漂う力。ウィンクルム王国と呼ばれる王国には、男性だけの「騎士団」と、女性だけの「魔女隊」という二つの治安維持組織が存在し、双方の間の溝は日々深まっていた。

 

 そんな中、騎士団最強の一人、「四番手」である若き騎士、ユートは団長である兄、カイの命令を受け女装して魔女の卵達が集う魔女学園に潜入し、魔女達の弱みを探す事となってしまう。

 

女装し、ユーリ(表紙中央)という少女として魔女学園の二年生として転入する事になり、転入先のクラスの委員長、メイファ(表紙左上)とルームメイトとなり。今までに体験したことのない魔法の授業、更には街のパトロールという授業などを通じて。寮長でもある大商会の令嬢、フラウディア(表紙右上)、彼女が好きすぎる従者、シリカ(表紙左下)、魔眼を持つ中二病な少女、フォルテ(表紙右下)と言った、才能豊かな魔女の卵達と出会い、親交を深めていく。

 

 そんな中、ユートが耳にする「願いを叶える魔法がある」、という噂。その噂を聞いたユートへカイは静かに告げる。その魔法は確かに存在する、と。

 

絶滅寸前の動物が急に繁殖したり、孤立した島が陸続きになったり、更には「魔物」という存在を抹消したり。関わった者以外が知らぬ間に、世界を改変してしまうと言う恐るべき魔法。その魔法を手にする可能性を持つ者を見つけ出し、危険思想を持つのならば処理せよ。それこそがユートに課された本来の任務。

 

改めて任務をこなす為、まずは自身の正体を知ってしまったメイファを探り始めるユート。そんな彼の前に現れる、指名手配犯である「破壊魔」、スイレン。彼女が狙うのはメイファ。防御魔法と補助魔法しか使わぬ彼女を狙うのは何故か。

 

 それは、メイファの兄が死した事故に関わる忌まわしき記憶、そして身勝手な共感。自分達と同じ方向へ引きずり込もうとするスイレンへ、必死に立ち向かうメイファ。

 

「その辺にしてもらおうか」

 

「おかげで僕は―――一片の迷いもなく、この剣を抜くことができる」

 

けれど、魔女の卵であるメイファでは勝てる筈もなく。救援へと駆けつけたユートは、「騎士」としての力を解き放つ。「魔女の天敵」との異名を取る、最強の一角である力を。だが彼だけでは、全てを守れる訳じゃない。

 

それでも、皆が揃ったのならば何でもできる。騎士と魔女、初の共同戦線で立ち向かっていくのだ。

 

時代の潮流に惑わされぬ、正しく芯が一本通った王道のファンタジーであるこの作品。故に安心できる、ど真ん中の面白さが楽しめるのである。

 

王道ファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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