読書感想:D級冒険者の俺、なぜか勇者パーティーに勧誘されたあげく、王女につきまとわれてる 2

f:id:yuukimasiro:20210422222936j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:D級冒険者の俺、なぜか勇者パーティーに勧誘されたあげく、王女につきまとわれてる 1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品はどうやらこの巻までがプロローグであるという事であり、この巻で初めてジレイを取り巻く環境が揃い、彼の包囲網が完成すると言える。

 

包囲網、そんな物騒な単語が似合う程に彼は悪い事をしてしまったのか。そんな訳ではないのは画面の前の読者の皆様の中で前巻を読まれた読者様であれば、ご存じであろう。彼は何か悪い事をやらかした、わけではない。寧ろその逆、彼は善行を為し過ぎた。勇者ではない、けれどその心は真っ直ぐ、どこまでも勇者そのもの。そんな彼の善人に過ぎる人間性がこの羨ましくもある状況を生んだと言える。

 

 そんな彼の、遺してきたフラグがまた彼を追ってくるのが今巻である。その主役が、勇者パーティの一人だった白魔導士、イヴ(表紙左)である。

 

ラフィネやレティから逃げ出し、辿り着いた魔導国家、マギコスマイア。その国に住んでいたかつて助けた少女、シャルの元に転がり込み居候生活を続けるジレイ。

 

だが、彼は面倒事からはどうしても逃げられない性質であるらしい。ジレイの既知であったケット・シー、アルディ(表紙右端)との再会により魔導大会への出場と、魔導学園での講師の仕事を押し付けられてしまう。

 

ぐーたらしたいのに、その圧倒的な実力で否が応でも注目を集め。生徒達からの信頼も集め、逃れられなくなっていくジレイ。

 

だが、魔導大会で優勝し、国の王女であるエレナの夫にされそうになりながらも脱出したジレイを新たな問題が襲う。彼が教えた生徒達の消失事件である。

 

ネズミ達を駆使し辿り着いた、魔族により創り出された「異界」。そこに潜んでいたのは、「邪神」を召喚せんとする魔族の一体、「暴食」のエンリ。

 

 イヴの見守る前、彼は果敢にエンリへと挑み、自らの武気が封じられた中、別の圧倒的な力を見せつけ、消滅へと追い込む。

 

彼の背中に重なる憧れの面影。顔は見た事は無いけれど、勇者でもなかったけれど。全てを救おうと駆け抜け、奴隷の厄介者であった自身に大切なものをくれた少年、レイの面影。

 

 そして判明する、レイが死んだ日の真実。もうお分かりであろう、その正体はかつてのジレイである。自らが開発した復活魔法の欠陥で最北端の未踏破区域まで転移していたため生死不明、死亡扱いとされていたのである。

 

「付き合って、欲しい。・・・・・・やっと、言えた」

 

過去と今、点と点は繋がり、恋心を向けるべき相手はやっと見つかり。ジレイへと真っ直ぐな好意を以て、彼を追う少女の一人へとイヴも変わる。

 

「俺はぐうたら過ごしたいんだよ! 構わないでくれ!」

 

願っても何も変わらない。何故なら、彼の物語はまだ始まったばかりだから。そして彼の愛される難儀な生き方はこれからも変わらないから。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱり王道なファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

D級冒険者の俺、なぜか勇者パーティーに勧誘されたあげく、王女につきまとわれてる 2 (オーバーラップ文庫) | 白青虎猫, りいちゅ |本 | 通販 | Amazon