読書感想:世界最強騎士団の切り札は俺らしい 無敵集団の中で無能力者の俺が無双無敗な理由

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は昨今話題のシン・エヴァンゲリオン劇場版をもうご覧になったであろうか。何故いきなりこんな話をしたのか、というとそれはかの作品の主人公とこの作品の主人公に、必要なものは同じなのではないかと思うからである。

 

剣の一振りで山を砕き、海を割る。呪文を唱えれば、空が裂け、時間が逆行し、次元を超えて雷鳴が弾ける。空を駆ける城を根城とし、この異世界にとっての敵である魔人達と戦いを繰り広げる、世界にとっての最強の、最後の砦。かの者達の名は、「超魔覇天騎士団」。

 

一騎当千の者達の中、自身も最強の一角である、三本の機動剣を自由自在に操り戦う姫騎士、ディーヴィ(表紙左上)。魔人達との戦いの中、彼女は全く以て未知なる存在、自分にとっては理解不能の存在と邂逅する。

 

「・・・・・・なにするんだよ、もう」

 

かの者の名はミヤ(表紙中央)。辺境の村で羊飼いを営みながら一人で暮らす、魔力を持たぬ平凡な少年である。

 

事実、彼は何の力もなく、冴え渡る武術も持ち合わせておらず。その手に持ち合わせているものは何もなく。

 

だが、彼は魔人の攻撃を正面から受けれど、何の傷も受ける事は無く。そして武術のさえもない、ただ繰り出しただけの拳が容易く魔人を瀕死へと追い込む。

 

唐突に現れた、自分達をも越える本物の最強に騎士団の面々は沸き立ち、彼を見極める為にディーヴィとその仲間のレグルゥが使者となり、ミヤを根城である城へと招待する。

 

「力を持つ者には責任が問われる。自らを律する美学を持ち、相応に振る舞うことが求められる。それがわからぬこのような浅ましき者に、騎士が務まるとは思えぬ」

 

けれど、自身の力を嫌い騎士と言う生き方を嫌うミヤには戦う理由もなく、騎士としての気概もなく。その胸にある優しさを盟主であるセヴィーラ(表紙右上)に見透かされた後、彼は建国祭が迫る帝都へと向かう。

 

かの都で見つめる事となるもの、それは騎士へ対する人々の想いとディーヴィを始めとする、超魔覇天騎士団の者達の戦う理由。

 

そして襲来する魔人により混乱へと陥る帝都。けれど、騎士団の者達は逃げる事をせず、自らの心の信念に依りて帝都の危機へと立ち向かう。

 

何故彼等は戦うのか。それは自身の中に比類なき強大な力があるから。力ある者の責任を背負っているから。その姿を見、騎士達に希望を託す者達を見、ミヤの中に芽生えるは力への新たなる思い。

 

「セヴィーラさんやディーヴィさんがやることなら、俺、力を貸すよ。あなたたちの想いを叶えるために、俺の力を使ってほしい・・・・・・超魔覇天騎士団の一員として」

 

力への新たなる思いに目覚め、責任を背負い。ミヤは全てを終わらせるべく戦場へと立立つ。全てを無に帰する自分だけの呪われた力をその手に。

 

敵も味方も最強だらけ、故にド派手に雄々しく。その戦いの中、自身の力の意味に懊悩する少年は受け入れてくれる者達を得てその力を振るう。故にこの作品はど真ん中に熱く、面白いのである。

 

ド派手なバトルが好きな読者の皆様、王道なファンタジーと成長譚が好きな画面の前の読者の皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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