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読書感想:聖剣学院の魔剣使い5 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、遂にこの作品も五巻を越え六巻という段階へと入ってきた次第であるが、画面の前の読者の皆様はこうはお思いではないだろうか。仕方のない事とは言え、中々に状況が何も変わらないと。しかし、どうか安心していただきたい。何故ならば、今巻は確かに作品の流れが次へ進む為の巻であり、今まで何だかんだと最強を誇ってきたレオニスですら勝てぬ、次の段階へ進む為の、言わば一章の章ボスとでも言うべきかもしれぬ存在が登場するからである。
では、そんな今章で焦点が当たる、メインを張るのは誰か。それは皆さまももうお分かりであろう。表紙からも分かる通り、今巻の主役は咲耶である。
そもそも今まで、咲耶は中々に飄々としており、レオニスを取り囲むお姉さんの輪からは一歩外れた位置にいたと言っても過言ではなく。そして、謎の力を振るい何か辛い過去があった事も暗示され、更には彼女の近親者と思しき存在も登場済みという、中々に謎だらけな存在であったかもしれない。
そんな彼女に焦点を当てていく今巻は、今まで溜めてきた分を一気に解放するかとでも言わんばかりに、彼女の過去も記され、彼女の故郷、「桜蘭」の壊滅とそこで何があったかを示す巻である。
彼女の故郷は九年前、ヴォイドの大群へ襲われ。封印されていた二柱の神を解き放ったものの、ヴォイドの統率体に神は破れ一柱が取り込まれ、そして滅んでしまった。
だが、滅んだだけでは終わらない。桜蘭の生き残りであり、咲耶とも縁の深い<剣鬼衆>と呼ばれる傭兵団が、レオニス達の都市に封印されていた残る神を餌に、仇である統率体を呼び寄せ復讐せんと企てていたのだ。
だがしかし、<剣鬼衆>達はスポンサーであった黒幕によりヴォイドへと変質させられ、謎の敵と一人対峙していた咲耶はその正体を知る。その正体の名は刹羅。もう一人の姫君であり、咲耶の姉、そしてあの日彼女の目の前で殺された筈の姫。
「<桜蘭>の姫よ。単身、我が<魔王城>に乗り込んだ蛮勇に敬意を表して、今一度、お前に交渉の機会を与えよう」
刹羅に敗れ瀕死となった咲耶にレオニスは、<魔王>ゾール・ヴァディスとして手を伸ばす。リーセリアと同じように彼女も失いたくない。だからこそ選べ、死するか、それとも我が蒐集物である<魔眼>の一つを得て半魔となり仕えるか、と。
仕える事を選び、再び刹羅の前に立つ咲耶。その戦いと同じ頃、レオニスもまた最悪の敵と遭遇、あるいは邂逅する事となる。
「・・・・・・まみえるのは七度目だな、我が師よ」
その名はシャダルク・ヴォイドロード。あらゆるもの全てを取り込む怪物にして、勇者だったレオニスの師、<剣聖>と呼ばれた無敵の化物。
魔王すらも取り込んだおかげでダーインスレイヴが使えず、使おうにも敵は使う暇すら与えてくれず、更にはこちらは弱体化著しく。
だが、諦めず絶望的な戦いに身を賭し、眷属であるリーセリアの危機に、レオニスの元に新たなる力、意外な形を取った<聖剣>が舞い降りる。
何故この形なのか、そもそも<聖剣>、そして<ヴォイド>とは何なのか。
更に謎は深まれど、確かに明らかになった事もあり、そして確かに流れは次へと進む。
だからこそ、きっと本番はまたここから、の筈である。
聖剣学院の魔剣使い6 (MF文庫J) | 志瑞祐, 遠坂 あさぎ |本 | 通販 | Amazon