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読書感想:聖剣学院の魔剣使い10 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、巻が進むたびに状況がどんどんと変遷していくのがこの作品の特徴であると言うのは、この作品を読まれている読者様であればご存じであろう。少しずつ明かされ始めたこの世界の謎、其処から怒涛の展開が始まっていく訳であるが、前巻の最後で登場した特大の爆弾。ここにいる筈のレオニスこと、「不死者の魔王」が更なる謎を呼び込んでくるのが今巻なのである。
「わたし、あれを知ってる・・・・・・」
シュベルトライテ対レオニスとリーセリアのコンビの戦いが繰り広げられ、咲耶と殺羅の姉妹対決が少し不可解な形で一時決着する中。突如「影の王国」に現れた「不死者の魔王」は圧倒的な力を見せつけ、「封罪の魔杖」を奪い取り。そちらを敵と見定めたシュベルトライテの決死の自爆攻撃により、初戦は何とか痛み分けの形へ持ち込まれる。
「―――〈天体観測装置〉の予測だと、これから、世界がひとつに戻る」
しかし、目覚めるも「封罪の魔杖」は持ち去られた後であり、手掛かりもない以上どうしようもなく。機骸兵の残骸やシュベルトライテを回収しつつ、帰還を選ぶレオニス。彼等のその行動の裏、様々な事態が同時に進行していた。
フィレット社の闇、聖剣に対する妨害システムを目撃したエルフィーネは捕らえられ。獣王であるガゾスを一人で持て成すシャーリは、豪放磊落な獣王に振り回され。そして「天体観測装置」で星の動きを調べていたヴェイラとリヴァイズは、衝撃的な事実を掴み、一度レオニスの元へ戻る事を決める。
それは八百年前、この世界は二つに分かれたという事。虚無に侵食されたヴォイドの住まう世界に、神々や魔物、数多の魔王達は転移したという事。二つの世界は今から、また交わろうとしている事。
そこに込められている意味は何か、それを調べることが出来れば良かっただろう。だが状況はすぐにでも動き出す。「帝都」と「第07戦術都市」を襲う「大狂騒」の中へ帰還し、街を守るために戦いの中へ飛び込んでいく。
敵として現れるのは、「不死者の魔王」の眷属となったかつての魔王軍の幹部たち、そして最強の使徒である「龍神」。ヴェイラとガゾスも参戦し、更に状況が混沌としていく中。少し武器のランクは落ちるも、シャーリとヴェイラとの連携でレオニスは戦う。
だがその裏、エルフィーネにより呼び出されたリーセリア達は衝撃の光景を目にする。彼女の敵対、という信じたくもない光景を。
更に大きな戦いが始まる中、更に謎が現れ纏まり始める今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。