読書感想:Re:スタート!転生新選組3

f:id:yuukimasiro:20210108194344j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:Re:スタート!転生新選組2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は明治維新後、武士の世の中が本当に終わるまでの歴史をご存じであろうか。廃刀令廃藩置県といった明治政府の政策により今までの生き方全てを否定され。新たな世の中に否を突き付け各地で反乱を起こし。散って逝った武士達。その武士達の中に、誇り高き新選組の者達がいた事は確かである。

 

だがしかし、この作品における明治維新は何を隠そう、主人公である周平(表紙左奥)と新選組の活躍により、武力衝突無し、平和裏に達成されている。それはこの作品をこれまで読まれてきた画面の前の読者の皆様ならご存じであろう。

 

ではそんな平和な明治維新の後、周平達は一体どこにいたのか。彼等の姿は北の果て、北海道にあった。何故かメイド喫茶のメイド達と店長という肩書、お揃いのメイド服を以て。

 

無論上記の事実は決して冗談の類ではない。この選択に至った経緯として、剣術道場を始めようとしたら大騒動を巻き起こし、更にそこに廃刀令という最悪の煽りをくらってしまったという経緯があったのだ。

 

周平の未来の知識を元に、超科学的な事は出来ずとも流行くらいなら先取りは出来るという事で、食い扶持を稼ぐために食堂運営に精を出し。

 

だがしかし、それが結果的に功を奏したのか大繫盛となり。そんな皆で過ごす騒がしい日々の中、周平を巡る女性陣とその応援者達による三つ巴の戦いも起きたりして。だがそんな日々こそが平和であり何よりも至福。今まで戦いに生きてきた者達が戦いを忘れ、普通の少年少女へと戻る為に必要な時間であったのであった。

 

では今巻はそんな丸々一冊エピローグ、かと聞かれればそうではない。画面の前の読者の皆様も歴史を習われたことがあるならもうお分かりであろう。そう、北海道である。明治維新後、最後の戦いの舞台となった場所であり、武士の世が真に終わる事となった地である。

 

榎本武揚、伊庭八郎が蝦夷共和国を建国しようと北海道にやってきて。その動きを阻止しようと大久保利通を始めとする明治政府の者達が火種を燃え上がらせる。

 

これより始まるは函館戦争、そして西南戦争。多くの武士達の命が散った、武士の世の最後の戦いであり、周平や土方さん達新選組の最後の戦いの舞台。

 

「・・・・・・泣いて止めても、お前は立ち止まらないのだろうな。そんな周平だから、私は愛さずにはいられなかった・・・・・・どうか、絶対に戻ってくると約束してほしい。指切りだ」

 

「はい、約束します!」

 

周平の力にも限界が迫り、本当にもう限界寸前。だがそんな中でも彼等は駆け抜ける。武士として最後の花を咲かせる為、そして無用な死を防ぐために。

 

その戦いの果て、待っている景色とは。どうか、画面の前の読者の皆様のその目で確認してみてほしい。

 

歴史アクションが好きな読者様、春日みかげ先生のファンであると言う読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

Re:スタート!転生新選組3 (電撃文庫) | 春日 みかげ, 葉山 えいし |本 | 通販 | Amazon