読書感想:犬と勇者は飾らない 2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:犬と勇者は飾らない 1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、前巻で見事に幼馴染とのすれ違いも解決し一つの悪を討ち滅ぼした、我等が主人公である草介。しかし、画面の前の読者の皆様、前巻最後の不穏な気配は覚えておいでであろうか。言うまでもないが、日本は法治国家でありこの作品においてもそれは当然同じである。そして魔術師はそれを管理、統治する組織が確かに存在している。ではそんな組織にとって草介は如何なる存在か。言うまでもないだろう、彼は無免許。つまりは取り締まられるべき存在であるのだ。

 

あれよあれよという間に魔法協会日本支部に拘束され、正直に異世界で勇者をやっていたから魔法が使えると話したら、問答無用で牢屋にぶち込まれてしまう草介。

 

それも仕方のない事なのかもしれない。魔術の世界なんていう非日常に住まう人間達であっても異世界なんて言う自分が見た事のないものは想像できず、その世界の事を確認できない以上、彼の言は妄言でしかないのだから。

 

牢屋にぶち込まれ、このままでは現実社会においても罪人にされてしまう、そんな絶体絶命のこの状況。

 

「勇者くん。あたしと戦いましょう」

 

だが、そんな状況下の中、まるで地獄に垂らされた蜘蛛の糸とでも言わんかのような救いの手が訪れる。その救いの手となる彼女の名は、ナイン(表紙右)。世界魔法機関本部所属の、世界最高の魔術師の一人である女性である。

 

彼女との対決で力を示した草介は、彼女が率いる組織、「猫組」への加入を余儀なくされ、彼女に日常生活でも絡まれると言う代償を手にしながらも、自由とある程度の身分を手に入れる。

 

初めてこの世界で味わう、仲間の温かさ。何故か自分になにくれとなく便宜を図ってくれる、掴めぬノインの謎の思惑。こづみも「猫組」へと加入し、駆り出される妖魔との戦いの任務。

 

「そうです。だからこそ彼女は何も拒まない」

 

 そんな中で草介は知る事になる。「猫組」という組織の本質。それは様々な事情によって魔術師の世間からは爪弾きにされたはぐれ者達の集まりであるという事を。

 

だが、そんな伝え聞いた彼女の本質は草介をますます混乱させる呼び水となり。それに構わず、水面下では新たな不穏の予感が渦を巻く。

 

本格的な地球での戦いが始まるまでの第一歩、地盤固めと次の戦いへ向けての布石がばらまかれる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、シリーズのファンの読者の皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。