読書感想:隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた3

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前巻感想はこちら↓

読書感想:隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、今巻の感想を書き始める前に、まずは画面の前の読者の皆様、この表紙の唯季の表情を見てみてほしい。一巻の何処かふくれた顔、二巻の悪戯っぽい笑みと来て、三巻のこの表紙である。根は陰キャラだけどそれをいつも上手く隠せる程に明るい彼女がこんな表情をするなんて、一体何が起きてしまっているのか。その答えは表紙を見てみてほしい。お分かりいただけただろうか、つまりはそういう事である。

 

季節は夏、やってきたのは夏休み。普通の高校生にとっては楽しみであろう大規模休暇の一つであり、大人にとっては過ぎ去りし過去においてきた休みの一つ。

 

だがしかし、その休みこそが唯季の頭を悩ませる出来事であった。ご存じの通り彼女は「隣の席キラー」である。だがしかし時節は夏休み。画面の前の読者の皆様ももうお分かりであろう。夏休みに隣の席も云々も無いのである。

 

いつもペースをかき乱されても、彼が隣にいないのは寂しい。だが夏休み、無理に彼を誘うのも何だか違う気がして。

 

悩みながらも唯季は夏という季節を生かし、「夏キラー」として夏休みの間は動く事を決意する。

 

そんな彼女の想いとは裏腹に。我等が主人公である悠己は一人の少女と知り合っていた。彼女の名は小夜。親友であり隣の席キラーの被害者、慶太郎の妹である。

 

彼女こそが今巻の物語のキーパーソン。そして慶太郎と小夜、この二人に焦点が当たるのが今巻である。

 

皆で海に行ったり、夏祭りに行ったり。年齢も関係なく一つとなってはしゃぐ中、小夜はずっと唯季の事を見ていた。愛する兄を変えてしまった彼女の事を。

 

その胸の中に渦巻いていたのは怒り、そして負の感情。だから許せない、新たな被害者を出す事は。

 

「・・・・・・悠己さんに告白なんて、させませんよ」

 

だからこそ敵意と共に眼光鋭く宣言して。だけどそれは勘違いで。更に唯季は実は悠己に告白しようとしていたと勘違いを重ね。

 

怒涛の展開と、悠己に目撃され気まずくなって逃げだす唯季。

 

「今日は来れた。唯季が連れ出してくれたから。だから、ありがとう」

 

そんな彼女を追いかけ追いつき共に花火を見上げながら。悠己は母親がいなくなって以来来れなかった夏祭りへと連れ出してくれた事のお礼を告げる。

 

その横顔を見つめる唯季の心に宿った感情、時が止まる中で溢れた言葉に込めた想い。その奥に隠れた感情は、きっと。

 

三巻、夏休みという非日常。その中、動き出す二人の想いは何処へゆく。

 

前巻まで楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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