前巻感想はこちら↓
ボケとツッコミのケミストリー、エクストリームなラブコメ。そう言っても差し支えないであろうこの作品、果たして二巻である今巻では何を描いてくるのだろうか。
その答えを今から書いていくならば、悠己と唯李のボケとツッコミ溢れるまるで化学反応のように駆け抜けていくラブコメに、一年生の時唯李の隣の席だった凛央(表紙奥)が新たに間に加わり、新たな色が出てくるという事である。
かつて唯李の隣の席であり多大な影響を受けながらとある負い目を持つ凛央。彼女の秘めたる悩みを聞き、解決のために協力する事になる悠己。テストが迫り勉強の必要に駆られる中、唯李の目の前で繰り広げられるのは二人だけの内緒話。
そんな二人の様子を間近で見る事になってしまう唯李の胸中に芽生えたもの。それはちょっぴりの嫉妬と大きな疑念で。
テスト勝負に賭けるは一つだけ相手のいう事を聞くいいなり券。秘密兵器として唯李が巻き込んだ、自分では友人だと思っている凛央。
だが、彼女の心にあったのは言えなかった一言。だからこそ凛央もまた唯李と悠己の関係を疑い、悠己へと疑念の目を向けていて。
だが、彼女には何も見えていなかった。悪魔だと思っていた相手は普通の人間であり、悪魔は自分、それどころか自分は只の道化だったのだ。
だけど、そんな告白を唯李はきちんと受け止め許して見せたのだ。
「あたしは、隣の席キラーだから」
太陽のような笑顔でそう告げて、凍り付いていた凛央の心を溶かして見せて。
「隣の席キラーやぞ。絶対殺したるからな」
対して、悠己には小悪魔のように告げて空回りしながらもかき乱したりしてみせて。
一歩進んでいるように見えて実は何も進んでいないのかもしれないし、進んでいるのかもしれない。だけど、打てば響くようなやり取りは今ここでしか出来ないから。
遊びに行ったりわちゃわちゃしたり。青春はいつだって様々な色を持ちながら、一瞬を積み重ねていくのだから。
アクセル全開、そのうたい文句に相応しく前巻にも増してボケとツッコミの会話劇の勢いと威力がましており、最早漫才が入っていないページを探すのが難しい程。
だけど、その中に香るほんのりとしたラブコメの香りが甘く鼻につく、笑えるからこそ甘く、笑えるからこそ面白い。漫才だからこそ面白い。そんな特有の面白さがアクセル全開で殴りかかってくる巻なのである。
前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと満足できるはずである。