読書感想:母親がエロラノベ大賞受賞して人生詰んだ2 せめて息子のラブコメに妹までまぜないでください

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前巻感想はこちら↓

読書感想:母親がエロラノベ大賞受賞して人生詰んだ せめて息子のラブコメにまざらないでください - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品はド派手なまでにエロネタに彩られボケとツッコミの丁々発止に彩られる、ギャグ満載の作品であるという事は前巻を読まれた読者様であればご存じであろう。では一体今巻ではどんな展開が待っているのか。もう説明の必要が無いかもしれないが前巻と同じである。溺れてしまうくらいに濃厚なギャグの中に、いい話のある流れとなっているのである。

 

 

「中間管理職も大変ですね、くそ会長!」

 

前巻の最後、作者としての身バレ未遂。それが影響してか、学校中にも自分が「種付けプレス」なんてとんでもないペンネームでデビューしたと誤解されてしまい。批判されるどころか、まさかの大人気となってしまう春馬。

 

「あんた、取材に、協力しなさい!」

 

全校生徒の前で演説どころかタイミング悪く忘れ物を届けに来た母親、美礼に何故かスピーチされてしまい。羞恥を味わった後、実質両想いである凜夏に次回作であるラブコメへの取材協力を頼まれる。

 

 このままいけば、普通のラブコメになったのかもしれない。しかしこの作品はそんな事にはならない。やはり問題が待っているのである、ラブコメを阻むほどの。

 

美礼が次回作である兄妹近親相姦もの、「日本神話も笑えない」の構想で悩む中、妹である美悠羽がエロイラスト大賞なるものを受賞し。

 

だが、その授賞式の場で新進気鋭の漫画家、レーニャにまるでメスガキが如き口調で罵倒され、売り言葉に買い言葉で返すも、何とも言えない敗北感を覚えさせられてしまう。

 

 悩む美悠羽を余所に始まる凜夏とのラブコメ取材。だがそこに何故か当然のごとく美礼が乱入し引っ掻き回し、それどころか何故か美悠羽まで乱入し、トドメと言わんばかりにレーニャまでやってきてかき乱され。

 

分かっていた、この作品で水着選びのデートやプール、夏祭りと言った夏の定番イベントが普通に進まぬ事くらい。だがしかし、一見するとムカつくガキであるレーニャもまた、今巻のイベントには必要なのである。

 

なぜならば、彼女の心の中に抱えた生なる闇に光を当てられるのは、美悠羽達しかいないから。春馬達家族しかいないから。

 

何故彼女のイラストは陰鬱なものばかりなのか、何故彼女は時折悲しげな表情を見せるのか。

 

そこに隠された真実は重く、彼女の心に蟠るのは諦念という闇。

 

「いいえ―――、この絵が描けたのは、わたしだけの力ではありません。母様と・・・・・・そして兄様。わたしたち霜村家の、勝利です」

 

 だが、そんな諦念では描けない絵がある。美悠羽だからこそ描ける絵がある。そして、美悠羽にあってレーニャにないもの。家族の愛、というものも気付かないだけで既にレーニャだって持っていたのだ。

 

前巻にも増してドタバタであり、けれど確かに家族ものとしていい温かみが摩訶不思議な味を更に高めている今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱりドタバタコメディが好きと言う読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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