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読書感想:こわれたせかいの むこうがわ ~少女たちのディストピア生存術~ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、始まりとなる前巻で無事に中々のディストピアである独裁国家、チオウから脱出する事に成功したフウとカザクラ。一つの難局を乗り越え辿り着いた安息の地。しかし、まるで温かな陽だまりのような安息に耽溺するにもいかぬ、行動すべき理由がフウにはあった。
それは、大切な仲間、カザクラ。彼女の失われた記憶を探し故郷を突き止める。再び旅に出るには必要な理由が彼女の心の中には合った。
希望となるのは、高い技術力を持つ謎の組織、ウパニシャド。だが、話はそう簡単には進まない。独裁国家をようやく脱出したのも束の間、彼女は思い知らされる。外の世界は独裁国家が可愛い程に危険に満ちており、凶悪な奴等が跳梁跋扈する、更なる暗黒郷であったという事を。
謎の少女、リリに単身誘拐されカザクラと引き離され収監されたのは「奴隷監獄・ゴトクテン」。海と巨橋が目を奪う、独裁国家に負けず劣らずの終末世界。
今度はカザクラとも引き離され、真の意味で一人。今度こそおしまいか、万事休すか。否、そんな事は無い。では一人ぼっちの彼女を助けるのは誰か。それはフウが今まで紡ぎ、この国でも紡いできた絆の数々。離れていても信じあえる、大切な仲間達。
また今度も逃げ出す為に。強制労働を課され逃げ出し、巨大な敵組織と激突する事になり。
敵はこのイカれた暗黒郷な世界が生み出した、宗教を始めとする強大な敵。己の中に大切な芯を持つ、イカれてイカした愛すべき悪人たち。
だが、フウの中にだってある。大切な心の芯、生きていくための理由。それがあるからこそ、どんな敵にだって立ち向かえる勇気が湧いてくる。
「フウの前にどんな現実が立ちはだかっても、やっつけてやる。どんなに辛い事があっても、私達はずぅっと一緒だよ」
「そう言うと思ってた」
彼女がいるから、皆がいるから。だからこそ生きていけるのだ。この世界がどんなに辛くとも。
乗り越えなければいけぬ壁はこれからも立ち塞がるだろう。更なる違った成長をしなければ生きていけないだろう。
だけど、少女よ負けるな。そして、自分を信じて突き進め。壊れた、世界の向こう側を。
前巻にも増して味わい深く、作品としての魅力がまた一つ高まるのが今巻である。
前巻を楽しまれた読者様、やはりディストピア好きな読者様は是非。
きっと貴方も、満足できるはずである。
こわれたせかいの むこうがわ2 ~少女たちのサバイバル起業術~ (電撃文庫) | 陸道 烈夏, カーミン@よどみない |本 | 通販 | Amazon