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読書感想:うちの家庭教師がグイグイきすぎて勉強どころじゃない! - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。余計な一言は言いたくないが残念なことをお伝えしなくてはならないので聞きたくないと言う方はブラウザバックをしていただきたい。ではお伝えしよう、この作品は今巻で最終巻である。
ではそんな今巻は一体どんな展開となるのだろうか。その答えを簡潔に述べるのならば、今巻もまた真琴のおかしな教育が炸裂する巻であり、そして真琴なりの教育論が炸裂する巻である。
表紙のようにまさかの制服姿を披露したり。相も変わらず自分の隣でゲームされたり。かと思えば真琴が大切にしていたクッキーを食べた犯人を捜す事になったり。
上の3文だけで分かるように、今巻もまたやっぱり勉強していない。第二段階とか言ったりしているけれど勉強していない。
だがしかし、そんな破天荒なスタイルが少しずつではあるが隼人の成績を上げているのは確かである。だけど、このやり方は正道から見れば邪道極まりない方法である。それを象徴するかのような出会いが、今巻で隼人に訪れる。
隼人のクラスに教育実習でやってきた教育実習生の女性、美咲。聡明で優秀な彼女は、型通りの指導方法を実践する正統派の教師である。この人と真琴を会わせてはいけない。悩み会わせんとばかりに奔走する隼人を嘲笑うかのように、運命は二人の教師の邂逅へと突き進む。
「勉強を教えるのが、家庭教師ですよね?」
「いえ、私はそうは思いません」
ぶつかり合うのは必然か。教育論の違いからぶつかり合う美咲と真琴。
「私はコロちゃんを、生徒を信じていますから」
そこで明らかになる真琴の願い。性悪説の美咲に対するかのように性善説で。例え絵空事、理想事だと分かっていても。
「私はいつだって生徒のことを信じてあげられる、そんな先生になりたいと思っています」
そして、例え自己満足だとしても。そこには確かに芯があり、信念がある。だからこそ、真琴は一人の「教師」なのである。
確かに邪道であるかもしれぬ、幼稚な絵空事であるかもしれない。だけど、そこにあるのは確かに一つの教育理論。そんな理論が心に何かを残してくれる、かもしれない。それが今巻の魅力であり面白さなのである。
この本を読んで貴方は習いたいと思うか、習いたくないと思うか。それは貴方次第。
だが、何か面白いものを見てみたい読者様、くすりと笑えるコメディが好きな読者様にはお勧めしたい。
きっと貴方も満足できるはずである。
うちの家庭教師がグイグイきすぎて勉強どころじゃない! (2) (ガガガ文庫) | カズシ, ハマ |本 | 通販 | Amazon