読書感想:デッド・エンド・リローデッド 1-無限戦場のリターナー-

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母性と包容力のある年下のヒロイン、至近距離からバカスカ撃ち合う巨大兵器同士のぶつかり合い、主人公は戦場を駆け抜けた特殊部隊出身、そして戦争での辛い過去持ち。

 

はい、今あげたキーワードの中に心にグッとくるキーワードがあった画面の前の読者の方は躊躇わずに一歩前へ出てください、そしてこの作品を買ってください。

 

さて、巨大兵器同士が激突し合った第三次世界大戦を経て、時空に関する特殊粒子が発見されたという未来世界を舞台に繰り広げられるこの作品。主な粗筋としては、十一歳のデザイナーズチャイルドであるヒロイン、契那(表紙左)が開発した機体による時空に関する実験に参加している主人公、夕陽(表紙右)が実験中に唐突に現れた謎の機体によりヒロイン共々殺害され、同じ時間の繰り返しに巻き込まれるという内容である。

 

この主人公、夕陽の凄い部分は何か。まず一つ挙げられるのは、戦場帰りであるからが故なのか、状況判断が的確かつ様々な事を試行出来るという事ではないか。

 

一度目のループ、誰にも信じてもらえなかった。二度目、三度目、それでも。そして何度も何度も繰り返されるループの中、様々な条件を考え行動し、その全てを記憶する事で敵の目的とある程度の戦力を探り当てる。これが無ければ謎の敵の打倒はならなかっただろうと考えると、この点はお手柄である。

 

そんな彼の内面に渦巻いているのは何なのか。それは大切な者を守れなかった後悔、そして悲嘆だ。

 

戦場で自らの前で散った最愛の妹。だからこそもう二度と亡くしたくない。その焦燥こそが彼の原動力。

 

その彼を支える契那の内面に渦巻くのは何か。それは後悔であり誰かへの願いだ。

 

自分の選択のせいで彼の大切な人を殺してしまった。それこそが彼女の研究の原動力。

 

そんな何かを失った者同士手を繋ぐ二人の前に現れた敵の正体。それは(機密)の(機密)であり、彼が告げたのは自分が戦う理由、そして今この実験が未来で作り出す絶望の全て。

 

「この世界の全てが敵になったとしても、俺は今度こそ、大切な人を守ってみせる!」

 

だけど、それでもと。もう今度こそ亡くさないと夕陽は叫び、妹の分まで背負って一撃を叩きつける。正に熱い、熱すぎる。だからこそ面白い。

 

出会うべくして出会った二人が手を取り合い、世界という大きな敵に立ち向かうこの作品。タイムリープやロボット同士の戦闘が好きな読者様は是非。きっとお楽しみいただける筈である。

 

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