前巻感想はこちら↓
https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/05/16/235719
さて、画面の前の読者の皆様、モンスター文庫とヒーロー文庫の違いについて何かご存じであろうか。個人的な所見を述べさせていただくならば、ヒーロー文庫は加筆修正をされている作品が基本であるが、モンスター文庫は基本的に加筆修正は少ない気はしている。
では、前巻もちょくちょく加筆修正があったこの作品は今巻は何処まで加筆修正されているのか。
その答えに関して言うなれば、ほぼ全てという他ないのが今巻である。
今巻で描かれている範囲は、なろう版で言うなれば約十六話くらいの範囲内である。しかし、その範囲内を書籍化しているものの、内容に関しては全くの別物と言っても過言ではない。
では今巻は一体何を描いているのか。その答えは、スーパーアーツという近未来スポーツでの激しい死闘と、三枝みのりという琥珀と中学時代からの同級生であった一人の少女の想いである。
幼き頃にテレビで見た、スーパーアーツのトップ選手の蛮行が許せなくてムカついて、だからこそと同じ世界で彼女を越える事を目指して。
たゆまぬ努力を続ける中、出会ったのは琥珀という今までの男子とは一線を画したまるで王子様のような存在。
しかし、そんな彼は高校入学早々に大貴族の令嬢、詩乃と婚約してしまい、しかも彼の周りには自分では及ばぬ令嬢達がごろごろしており、更には他校のスーパーアーツの新米選手達も琥珀を狙い始めて。
しかし、だけどそれでも。彼の事が好きなのは自分だって同じだから。だから例え狭き門だとしても、全力を当たり前のように尽くせるのだ。
「結婚を前提に付き合ってください」
「わかりました」
その心は確かに琥珀に届いていたから。その頑張りを確かに彼は見ていたから。
だからこそ届いた想いを胸に、みのりという一人の乙女はリングに舞えるのである。
そんな乙女の死闘と、日常生活でのじゃれ合いにも似たキャットファイトが繰り広げられる中、流されたりからかったり、時には諫めたりと琥珀も自由気ままに動き回って。
言うなればラブコメが本格始動し、今後の方向性を示すかのようになろう版を読んだ読者の皆様にも未知の物語を見せてくる巻であり、一人の乙女の想いがこれでもかと炸裂する恋の熱さ極まる巻である。
(その分詩乃が割を食ってコメディリリーフな味をつけられていたりするが)(苦笑)
前巻を楽しまれた読者様は是非。またレベルの上がった面白さを楽しめる筈である。