読書感想:必中のダンジョン探索1 ~必中なので安全圏からペチペチ矢を射ってレベルアップ~

 

 さて、狙撃と言うのは腕さえあればもっとも安全な戦闘スタイルと言えるのかもしれぬ。何故ならば反撃を食らわぬ距離から一方的に攻撃できるわけなので。狙撃、と言えばゴルゴ13と答える読者様はどれだけおられるのだろうか。かの作品で描かれる狙撃、というのは調べてみると漫画だからこその神業揃いだったりする訳で。だからこそかの作品は、次はどんな狙撃を見せてくれるのか、と期待したくなるのかもしれない。

 

 

と、まぁ狙撃の話は置いておいて。この作品における狙撃も無敵に近い戦い方である。何故なのか、それは今から見ていこう。

 

ゲームみたいなダンジョンが世界各地に出来るようになって早くも二十年なとある現代世界。かの世界で高卒で探索者を務める青年、楓(表紙左)。彼は「案内人」というある意味不名誉な異名を持っていた。それは不遇職気味なジョブ、弓使いであり。「魔法矢」と呼ばれる魔力で矢を作るユニークスキルは持っているも、威力は普通の矢と同じというハズレ気味。 様々なパーティーに入り追い出され、ソロでこつこつ。その中で新人を助けたりしているからである。

 

「これはもしかしたらもっと上のランクのダンジョンでも通用するんじゃないのか!!」

 

その中、一年振りのレベルアップで「魔法矢」を強くしたら現れたのは新たなスキル、「捕捉」。魔法矢が絶対に当たるだけ、どう見てもハズレ。しかしボス部屋から放り出されると言うアクシデントの先に楓は気づく。 魔力の矢は壁を貫通し、「捕捉」で必ず命中する。つまりはボス部屋の外、という絶対の安全圏から一方的に攻撃をぶつけられると言う事。

 

その効果を確かめ、有用性を確認。強くなるために新たなダンジョンへ。その為に向かったのどかな町で出会ったのは、探索者に憧れる少年、葵。ダンジョンへ入りたいと言うこの子を危険だからと押し留め、魔犬のダンジョンへ。そこで見たのは勝手に侵入していた葵とその友人達が突然変異のモンスターに襲われている場面。助けるために乱入、限界を超えて戦い何とか勝ち。探索者協会職員の怠慢も暴き、葵の祖父よりお礼として新たな弓を貰って。

 

「それにしても、お兄さんって強かったんですね」

 

新たな力を試す為にもダンジョンへ。そこで出会ったのは、人気配信者でもあり魔法使いのリーシェ(表紙右)。彼女と共に変異したトレントと戦い。新人冒険者の凛、杏樹、莉奈のパーティーを導いてあげたり。誠実さと好青年ぶりで少しずつ名前が売れ始めていく。 だが、その先に波乱あり。

 

葵の一件で逆恨みしてきた協会職員と雇われた探索者に襲われ。更にその協会職員が謎の力で魔物の暴走を引き起こし。大規模な戦いになる中、楓は謎の魔物へ変じた協会職員との一騎打ちへ。

 

「でも悪いな。俺の勝ちだ」

 

圧倒的な再生能力を持つ敵に対するのは自分だからこその一手。再生を超える為、ユニークスキルの重ね合わせで勝利を。

 

だが彼はまだ知らぬ。自分の知らぬ所で謎の者達の思惑が動き出した事を。舞台がきな臭くなりそうなのを。

 

自分だけの戦い方が爽快感を齎す、真っ直ぐに面白いこの作品。現代ダンジョンものを見てみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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