読書感想:全員覚悟ガンギマリなエロゲーの邪教徒モブに転生してしまった件2

 

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読書感想:全員覚悟ガンギマリなエロゲーの邪教徒モブに転生してしまった件 - 読樹庵

 

 さて、前巻を読まれた読者様であればこの作品に満ちている狂気、というのはお分かりであろう。アーロン寺院教団、ケネス正教、共に中々死なぬ者達の集まりであり故に覚悟ガンギマリ。そんなくそったれな世界で寄りにもよって最悪な所から始まったこの作品。さて、オクリーの目的を達成するために必要なのは何か、狂気である。

 

 

そう、狂気だ。正気の建前なんていらぬ。目的の為には何を為してでも、という狂気。それこそが重要なのだ。その為にオクリーが動き出すのが今巻である。

 

『ヨアンヌからそれを聞かされた時、ボクを含めてみんな驚いていたよ』

 

前巻で制圧したメタシムの街。そこで幸運にも残っていた製錬所、更に言うなれば溶鉱炉。そこに幹部抹殺の勝機を見いだすも、そもそも大人しくぶち込まれてくれる奴はいないので、落とせたとしてファンキロくらい。一先ずどうしたものか、と考える中、ヨアンヌがオクリーの提案という事で打ち出した「移動要塞化計画」、オクリーに幹部それぞれの肉体の一部を移植、運び手にする計画が持ち上がる。

 

『治癒魔法も挽回手段も持たないあなただからこそ、最大限に活かせる強みがある』

 

一先ずヨアンヌの肉体で色々試し、計画の目途は立ち、だが時間は非情にも待ってくれない。正教幹部たちが奪還のために最寄りの町に集まりつつあると言う一報が入り、早速潜入する事になり。アーロスのアドバイスの意味を考えつつ街へ潜入、セレスティアとの遭遇戦もありつつ役目をこなし。街は正教幹部と寺院教団幹部の戦争の場に様変わりする中、自分の目的のために動いていく。

 

『あなたの絶望は、満ち足りた希望へと変わるのです』

 

・・・・・・だが、作戦の最中と後、事態は急展開。それも、よりカオスで最悪な方向へ。偶然にも知ったのは本編主人公のアルフィーではなくその幼馴染のマリエッタが生き延びていたという事。そして、独断専行したセレスティアが全ての策を先読みされて捕らえられ、闇堕ちさせられてしまう。

 

更に巻き起こるのはヨアンヌの記憶の流入。何故、どうして。それこそは彼女の狂愛のせい。気が付かぬ間に交換されていた大切な臓器。そして知るのは、自身の生まれの真実。そもそも戻るべき場所なんてどこにもないという事。

 

「―――もっと交換してみませんか?」

 

だが、臓器交換という方法に見出すのは、か細いけれど逆転に繋がる一手。なれば躊躇わぬ。まるでテセウスの船が如き所業をヨアンヌへと提案し。

 

「―――そういうのは、勝ちが確定してから言うものなんだろ?」

 

 

そしてまず、一つ目の裁きを。溶鉱炉の戦い、そこでファンキロを斃し。一つ、敵を減らすことに成功する。

 

だがその道は正しいのか、何を生んでしまうのか。それはまだ誰にも分からない。

 

よりカオス、より凄惨へと踏み込んでいく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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