前巻感想はこちら↓
読書感想:玄関前で顔の良すぎるダウナー系美少女を拾ったら - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻でヒトリの声にならぬ無言の脅迫めいたものを聞き、家族ではなく彼女を選び傍に居る事をリヒトは選んだわけであるが。空っぽな器を満たすのは、まぁいいとして。それは果たして正しい行動なのか。ただ一人で埋めて、色づかせる。それは綺麗に見えるかもしれない、でも本当にそれで良かったのか? その答えは分からぬ、未来に出る答えを期待するしかない訳で。
だけどもう、離れられぬ。 ヒトリの中、生まれた恋という熱。甘いだけなら、熱いだけなら。それは安心して見れていたものであるやもしれぬ。 だが、彼女のそれは正しく搦めとり取り込んでいくもの。 それは最早止められぬ。
「引っ越しするから、荷物運ぶの手伝ってね?」
と、まぁそんな熱が生まれている訳であるが、その熱が気恥ずかしさを生みヒトリはリヒトを何となく避けてしまい、リヒトもまた近づくことが出来なくて。 そんな中にやってきたのは、北海道に行っていた筈のリヒトの妹、マイ。何故かヒトリの方に沙季に近づきその家に居ついていた彼女は、その行動力のままにヒトリのリヒトの家への引っ越しを宣言し。事態を飲み込む間もなく、何故か三人での生活が始まる。
「私もリヒトと一緒に寝る」
「・・・・・・会いたくても、会えなかっただけ」
まるで台風、自由気ままに心のままに。マイの行動に振り回され、何故かヒトリも含めて三人で寝ることになったりして。 だけどそれは、また同居生活が始まると言う事であり。その中、リヒトは確かに触っていく、ヒトリの心に。自分から追う事はないけれど、それでも彼女は傍に居る、その距離感がまた始まっていく。
そんな中、突然ヒトリはバイトを始める事を宣言し。リヒトは同居の許可を得る為、ヒトリの母親に接近しようとし。 それぞれが動き出す中、マイの本心も明かされていく。
それは、ヒトリを確かめると言う事。判断したのは、彼女にとっては危険という事。兄の事を大切にするからこそ分かる。きっとヒトリはリヒトの事を独占する、手の届かない所に連れて行ってしまう。
「敵わなかったなぁ」
だけど、最早遅く。家族の絆、それは変わらぬとしても、一番ではなく。 既に勝てぬ、二人の絆には。
「リヒトさえいればいい。リヒトさえいれば・・・・・・他にはなにもいらない」
そして今度は、ヒトリが選ぶ。 今度こそ変わるから、とまた一緒に暮らそうと手を伸ばしてくる母親の手を無情にも叩き落として。絆を断ち切り、巣立つかの如く。 彼さえいれば、他は必要ないから、と。
その告白は嬉しくも何処か掴まれるように、冷たくて。 だけどもう逃げられぬ、手放せぬ。
関係が本格的に近づき、より深い愛が出てくる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
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