読書感想:義妹生活10

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:義妹生活9 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、遂にこの作品もアニメ化するらしい。それはとてもめでたい事である。あるのだが。とりあえず1クール前提として、果たしてどの辺りまでをアニメ化するのだろうか? 昨今のラブコメとしては珍しく、じっくりに過ぎるくらいにゆっくりに進んでいくこの作品。何処までアニメ化すれば丁度いいのか。分割2クール、とかだったりするのだろうか。

 

 

そんな杞憂はまぁ我々はあまり気にする必要もないかもしれない。という訳で今巻の感想を語っていきたい次第であるが。そもそも悠太と沙季のこの二人。恋愛がもどかしすぎる理由とは何なのであろうか。出会う季節がいささか遅かったのだろうか。それとも別の理由があるのだろうか。もしかすると、始まりが家族、という形だったからか。それとも互いに考えすぎる性分が問題なのだろうか。

 

「アクセル、踏ませてくれないか」

 

考えすぎるから、それとも捉われすぎるから? 中々進めず一歩進んで二歩下がってばかり。 恋人同士になってからも、もどかしい。そんな二人の周りで今更ながら明らかになるのは、明かされなかった思い。 夏休みの思い出としてのデイキャンプ、明かされたのは栞の思い。悠太に対し思う所はあったけれど、それでも踏み込めぬ間に沙季に掻っ攫われていたという事。今更ながら伝えれど、もう踏み込むことは叶わなくて。

 

そんな一幕もありつつも、巡ってくるのは一時的な別離の機会。悠太が勉強合宿に参加するために泊まり込みに出発し、残る沙季とは一時的に離れる事となる。

 

「私と浅村くんは付き合ってる。恋人同士だよ」

 

残る沙季は、絵里奈と向き合う機会を得、彼女の中に自分と似たものを感じて。自分と悠太が付き合っている、という事実を明かす。

 

「それが今のあなたの自己評価を下げさせ、そのまま自己肯定感を下げる要因になっているんではないですか」

 

遠く離れた地、もっともっとと焦る悠太は塾の仲間である藤波さんから、他社への認識と自分自身への認識の歪さを指摘され、自分の根底にあった感情をズバリと指摘され、見直す機会を得る。

 

「それを言ったら、俺もだよ」

 

少しずつ話す人が増えていく、知っていく人が増えていく。それでいい、と思うけれども。そうでいいと信じて、大切な思いを重ねて。心の余裕も取り戻して、また大切なものを見出していくのである。

 

一歩進む気配がする、だけどまだまだかみしめていくように。そんなしめやかな面白さが続く今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 義妹生活10 (MF文庫J) : 三河 ごーすと, Hiten: 本