読書感想:義妹生活6

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:義妹生活5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で悠太と沙季はまるでハロウィンの灯に導かれるように、恋人同士としての温もりを求め、確かに二人の変化の音が鳴った訳である。だがしかし、何かが大幅に、それこそ一気に変わると言う事はあり得るのであろうか、と言う事を聞かれるとそう言うことは無い。何故ならばこの作品はそう言う作品ではないのだから。だがしかし、一度転がりだした変化は止められないのである。

 

 

「だからさ。まだ無理にカミングアウトしなくてもいいと思う」

 

話し合い、変わってしまった関係を無理にカミングアウトする事を選ばずに。両親に再婚を後悔させないために、今は隠し通すことを決め。けれど確かに変わった証として、互いの誕生日をきちんと祝おうと決める。

 

「ちょっとは温かくなる?」

 

「その・・・・・・好きだって聞いたから」

 

 聖夜と言う恋人同士からすれば大切な季節が巡ってくるけれど、特に何が変わるわけでもなく。でも、確かに変わって温もりを求めるからこそ。帰り道、何気ない触れ合いをしてみたり。沙季の誕生日、悠太が必死に調べて彼女が好きな料理が美味しいお店へ連れていったり。ちょっとだけ変わったからこそ、確かに甘く。来年は忙しいから、と両親からちょっといいプレゼントを貰い。巡ってくるのは年末、大晦日、年越し。皆で向かった悠太の側の実家、そして初詣。その中で見つめていくのは、未来の可能性。

 

恋人同士を超え、本物の「家族」へ。いつかは自立するからこそ、その可能性を見つめていく。そうなるかは分からないけれど、いつかなるかもしれないからこそ。祖父母が父親である太一に指摘した心配、それを毅然と悠太は否定し。確かな成長を思わせる顔で彼女の魅力を語る。

 

「ありがとう、悠太くん」

 

 それを期せずして聞いた沙季の心中、沸き上がる気持ちは如何程のものか。一人で生きていくと思っていた、だけど今は彼と共に歩いていきたい。だからこそ柄にもなく寄り添い、大きな背中に寄り添って。彼女は感謝を口にする。

 

確かに変わった、その変化は止まらず少しずつ降り積もっていく。そしてその積み重ねは、確かに二人の間の距離を縮めていく。少しずつ、恋人同士にしていく。

 

だからこそ何気ない触れ合いと積み重ねが、仄かでこそばゆい甘さを出しているのである。

 

さて、年が明けて勝負の季節が来るのなら、その季節は二人に何を与えていくのだろうか。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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