読書感想:依存したがる彼女は僕の部屋に入り浸る2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:依存したがる彼女は 俺の部屋に入り浸る - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、あまり羨ましくはない、羨ましく、なくもないかもしれない「僕」と春香、夏希、冬美の爛れているように見えてある意味無味乾燥としたちょっと拗れたモラトリアム、であるが。そもそもこの作品、一応ジャンル的にはラブコメのように依っている筈なのだがまったくラブコメしていないように見えるのは、私だけだろうか。中々始まらず生温く日々を重ねていく彼等の関係。では今巻では少しは進展するのだろうか。

 

 

と聞かれると、私はその答えを持ってはいないので、画面の前の読者の皆様の手で今巻を読んで確かめていただきたい。しかし一つ言えるのは、一応は動く気配があるかもしれぬという事である。

 

春香の手により業務用ウィスキーの角瓶が何故か届けられて、また彼女達ロクでもないいつもの面子が入り浸る気配を見せる中、家主である九子さんからのお手伝いの依頼により、同年代の企業所属Vtuberの八重と、しっかり者の妹、七野と関わり八重のゲーム配信に付き合ったり。

 

「女のひとりやふたりや三人ぐらい抱えてみせろってんだよ!」

 

「小説みたいに証拠や情報が都合よく集まるなんてことないだろうしね」

 

九子さんの独特の性観念に慄いたり、部屋で何故か同じ同人誌二冊が消失すると言うプチ事件が発生したり、夏希のパチンコに付き合ったり。何だかいいんだか悪いんだか。相も変わらずゆるめでちょっと煤けたモラトリアムの中、夏休みも結局彼女達に家に入り浸られる中。九子さんの御願いで、短期で海の家でバイトする事になる。

 

見てくれだけはいい彼女達が絡まれているのを助けたり、水着でプチなラッキースケベが起きたりして。しかしここで小さな波乱が。夏希と再会し、付きまとうようになるのは今は別の大学に通っている先輩。少しずつストーカーみを増していく中、迷惑はかけられぬと夏希は離れていこうとする。

 

『自分ひとりで抱え込んでどうにかなるわけじゃないんだし、諦めて僕ぐらい巻き込めよ』

 

 

だけど放っておくことはできない。ではどうするか。どうにかなる訳じゃないなら、せめて僕は巻き込めよ、と。九子さんに背をしばかれケツを持たれて。夏希と一芝居うって、先輩を撃退する事に成功する。

 

「それならもう、健やかなるときも病めるときもパチンコに負ける時も一緒よ!」

 

そして全部が終わった後、夏希の中に芽生えるのは一つの思い? まるで運命共同体の様に巻き込んでいく、そのある意味究極に気やすい関係は何と呼ぶことになっていくのか。

 

少しずつラブコメ、らしきものが始まっていく気がする今巻。もっともっと読みたくなる次第である。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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