前巻感想はこちら↓
読書感想:義妹生活8 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の最後で再婚した両親の新婚旅行により二日間、家で二人きりになると言う状況が発生した悠太と沙季であるが。恋人同士となって、初めて迎える二人きりの時間。普通のカップルの目線で考えれば意識する事が続いて、そのうち更なる発展を・・・・・・となったりするかもしれない。 しかしこの作品は「恋愛生活小説」、である。普通に発展するか、と言われれば。この作品の歩み的にはすぐは進まないのである。
「だめ。それだとあなたを他人だと意識しすぎてしまうもの」
呼び方ひとつ、意識すれば変わってしまう。他人過ぎては遠すぎる、仲が良すぎては近すぎる。呼び方ひとつ、苦心して意識しながらいつも通りの日常を意識する中。悠太はバイト先に新たに入った後輩、絵里奈の元気さに押されながらも仕事を教える事となる。
「気になる・・・・・・」
その彼を余所に家では。小さなことが気になってしまう沙季が偶々テレビで不倫特集を見てしまい。ふと思うと、バイト先では彼に悪い虫がついていないか、分からないという事に気付いてしまい。もやもやが募っていく。
その最中、落雷による停電でトラウマが刺激されてしまった沙季を悠太が支えたり、彼が料理に四苦八苦したり。更には沙季が悠太のいない所で絵里奈に、細かい言い方から何かを感づかれそうになって誤魔化すのに苦労したり。
そうやって色々ありながら、両親のいない二日間が終わって。巡ってくるのはスポーツの機会。球技大会、そして野球部員でもある丸の、最後の夏。
バスケに出場する事になった悠太が、牧原さんに告白したい吉田の手助けをする事になったり、沙季の応援で決め手となるショットを撃ったり。
「悔しいなぁ。悔しかったよぅ」
そして、丸の最後の挑戦。涙を見せぬ丸の代わりに、真綾が涙を見せて。悲喜こもごも、色々あった一度きりの最後の夏、が終わりを告げる。
この先に待っているのは、より進んでいく季節か、関係か。しかし二人は気づいているのだろうか。気付かぬうちに、二人の間に不穏なものが高まり始めている、と言う事を。そして後輩である絵里奈など、新たな波乱の芽らしきものが育ちつつある、という事を。
果たしてこの先、今巻における助走の展開の後に。どんな展開が待っているのだろうか。
シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。