読書感想:私の初恋は恥ずかしすぎて誰にも言えない

 

 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。皆様は自信の初恋がいつか、誰が相手であったか、というのはご記憶であろうか。私はもう忘れてしまった。しかし、初恋と言うのは基本的に叶わないらしいという話は本当なのであろうか。ラノベで見れば、主人公やヒロインが初恋をした場合、その思いは成就する事はまぁまぁある。だが、現実世界においての初恋は叶わなかったりすることが多い。えてして、ままならぬものである。

 

 

ではこの作品における初恋、とはどういうものなのか。タイトルに恥ずかしすぎる、とある訳だが何故恥ずかしすぎるのか? その答えはこの作品を読み終えれば分かる次第であるが。一先ず先に言っておくのならば、その初恋は確かに唯一無二であると言う事だ。

 

「冷静に―――前向きにいこう」

 

容姿端麗、学業優秀、スポーツ万能、家が金持ち、姉妹が美人。夢は恋をする事。割と主人公としてはハイスペックな少年、千秋。 欠点でありある意味美点と言えば、無自覚な馬鹿であり気持ちの切りかえが早い点。そんな彼は高校入学の日の朝、目覚めたら何故か女の子(表紙)になっていた。驚きを隠せぬものの一先ず受け入れ、双子の妹であり何故か最近ちょっと冷たい楓の元を訪れたら、とんでもない事になっていた。

 

 

「性別を逆にしてやったら、仲直りできるかなって♪」

 

何と彼女は、性別は変わってはいなかった。しかし股間に男子に生えているアレ、平たく言えば大きなイチモツが生えていたのである。その事態を引き起こしたのは、兄妹とは年の離れた姉であり、マッドサイエンティストな悪戯好き、夕子。寝ている間に遺伝子を弄った、というどういうことなの、という悪戯によりそんな事になってしまったのだ。

 

「全身全霊をもって、初恋をつかみ取ることを誓います!」

 

一先ず夕子を説得し、楓は元に戻してもらい。高校の入学式、新入生挨拶へ。しかし借り物の服であったが故にボタンを飛ばしてしまい、ノーブラを晒してしまうというハプニングが起きたり。追い打ちをかけるように、治り切っていなかった楓に、イチモツがまた生えてきたり。

 

ドタバタしながら高校生活が始まる中、千秋の家族同然の幼馴染であるメイが近づいてきて、彼女に初恋を教えると宣言したり。更には家で、半裸の千秋を楓が見てしまい、男子並みどころかそれ以上に敏感になっていた性欲で理性を失って、暴走してしまいそうになったり。

 

「これがわたしの初恋だ」

 

次々と巻き起こるドタバタ、正に七転八倒がごとし。そんな中、千秋と楓は気づいていく、己の恋、千秋にとっては初恋に。割と変態ちっくであるかもしれないし、望んだ形ではないけれど。それでも燦然と輝くこの初恋を、なかったことには出来ないのだという事を。

 

正にカオス、闇鍋のごとし。しかし芯があって足並みが整って押し寄せてくるので、正に笑えることきっと間違いなし。そんな笑えて元気になれるこの作品、唯一無二の作品を読んでみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 私の初恋は恥ずかしすぎて誰にも言えない (電撃文庫) : 伏見 つかさ, かんざき ひろ: 本