前巻感想はこちら↓
読書感想：なぜかＳ級美女達の話題に俺があがる件 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻でＳ級美少女の一人である沙羅と縁を結び、何だかんだとこれからも関わる事となったこの作品の主人公、晴也であるが。そもそもここまでしといてモブに今更戻れるわけがあるか、とツッコミたくなった画面の前の読者の皆様もおられるかもしれない。正にその通りであるかもしれない。そもそも誰かが困っていれば見過ごせない、そんな彼が彼女達が困っていた時に、見過ごせる訳もないのだから。
と、いう訳で。今巻では沙羅に引き続き、Nayuこと結奈のお話である。かつてとある傷を抱え、部活と言うものに思う所のある彼女の心に迫っていくお話なのである。
「お返しなら、これからも私とお友達でいてください。ね、赤崎さん？」
部活に入っていない生徒は検討するように、という担任である明香の言葉。そこに結奈と晴也が思う所を見せれど、一先ず周りはそれ以上触れてくる事はなく。沙羅に自分の秘密を黙っていてもらう条件として友達でいる事、時々二人で秘密の時間を過ごす事となり。そんな中、オフ会中に結奈にとっては因縁の相手と遭遇し。彼女が秘める冷たい感情の一端を垣間見、どうしたものか、と思い悩むことになっていく。
「大事なのは途中じゃなくて最後だと思いますから」
そんな彼の背を押すのは沙羅。彼女の励ましにより、向き合う事を決め。抱えきれぬ問題を抱えていた時は、という建前の元に結奈の事情を聴き、彼女が昔バスケ部時代に周囲との軋轢で挫折したという過去を聞く事となる。
「嫌いだなんて言わせない」
だけど、嫌いだと嘘をついても。その心にだけは嘘をついてはいけない、ついちゃいけない。かつての憧れをぶつけ、その心の本当の思いを引き出して。かつての過去を乗り越える為、結奈はバスケ部に入部し、因縁の相手達との再戦へと挑んでいく。
「私ね・・・・・・決めたんだ」
それが出来たのは、乗り越えられたのは彼のお陰。だからこそ、彼女の中には一つの思いが浮かんでいく。それは彼の事を知りたいと言う思い。だからこそ、彼女は決める。今までネットの顔という仮面を被っていた自分を一歩飛び越えて、本当に彼の事を知っていくと言う事を。彼の素顔に迫っていくと言う事を。
沙羅に続いて結奈も惹かれ、残るは一人。彼女の思いが晴也に向けられる時、そこから始まるのだろうか、本当のラブコメが。
少女漫画らしい面白さを出しつつ、少しずつ物語が動き出していく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: なぜかS級美女達の話題に俺があがる件2 (角川スニーカー文庫) : 脇岡こなつ, magako: 本
