読書感想:エロゲのヒロインを寝取る男に転生したが、俺は絶対に寝取らない2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:エロゲのヒロインを寝取る男に転生したが、俺は絶対に寝取らない - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれている読者様であればヒロインである絢奈が抱えている黒々とした闇、というのはご存じであると思われるし、これは寝取られてもまぁ仕方ないのでは、と思うような醜、もとい修とその周りの歪んだ考え方というのもご存じであろう。しかし、斗和に課された命題もご存じの筈だ。絢奈を復讐の道に進ませる事無く、幸せに辿り着かせろというもの。その為には一体、何をすればいいのか。

 

 

 

その答えは簡単、と言えるのかもしれない。絢奈の抱えている思い、その根底を知ればいい。それを氷解させればいい。彼女の停まった時間を、動かせばいい。実際にはなかなかの難易度であるが言葉にすればそんな感じなのだ。

 

「そうですね。まだまだイチャイチャ出来ますよ?」

 

「僕と絢奈のこと、応援してくれるんだよね?」

 

そんな斗和が抱えているものを知ってか知らずか、絢奈は斗和が大好きだと言う思いを全身で示しながら、時に修の家族を嫌っていると言う闇を見せ。それを知らず、修は彼女との絆を信じているからこその台詞を、斗和へと投げかける。

 

方向性が見つからぬ中、斗和を襲うのは謎の頭痛とフラッシュバックする、断片的な記憶。絢奈と彼の前に現れるのは、絶望に満ちた瞳を持った絢奈の幻影。

 

「それこそが私の生きる意味なんですから」

 

 

そして、保健室で。そこへと繋がる彼女が抱えている片鱗を見た時。斗和の意識はかつての自分の部屋へと送られ。かつての世界のゲームを、謎の焦りに駆られプレイしたことで、全ての記憶を取り戻す。

 

 

そこから見えてくるものとは何か。それは絢奈の本心。復讐なんて向いている訳もない優しさを持っているのに、心を殺して復讐に走ったからこそ壊れてしまった彼女。そんな彼女を救えなかった、「斗和」の心の叫び。

 

彼の目の前、姿を見せるのは「斗和」の意識。後悔を吐露し、彼女を助けてほしいから「彼」が呼ばれた、とこの転生の目的が明かされ。「斗和」によって、彼女の停まった時を動かす道筋のヒントが与えられる。

 

 

ここに全ての準備は整った。あとは何が大切か、それは「彼」の気持ち。絢奈の事が大切で、彼女の事が大好きだからこそ。彼女を幸せにするのは自分だと。行いとしてはゲームの道筋を辿る事になるのかもしれない。

 

「俺たちは二人で幸せにならないといけないんだ」

 

そんな事はどうでもいい、知った事か。彼の事を、彼の幸せを思ってくれる彼女に光を、幸せを。それは斗和にしか、「彼」にしか出来ない事だから。

 

一つの関係が愛の中に結実する甘さのある今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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