読書感想:なぜかS級美女達の話題に俺があがる件

 

 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様は「恋バナ」を誰かとされた事はあるであろうか。因みに私はしたことはない。するような友達がいなかったので。それはともかく、恋バナというのは女子同士で行うイメージがあるのは私だけだろうか。そんなイメージを抱かれている読者様は、どれだけおられるだろうか。

 

 

 

そのイメージはともかく、この作品は恋バナから始まるハーレムラブコメなのである。その恋バナが、様々な事を動かしていくラブコメなのだ。

 

「―――実は私、運命的な出会いをしたんです」

 

とある学校で、その類まれなる美貌から男女問わず注目と尊敬、羨望を込めて「S級美女」と呼ばれる三人の少女。沙羅(表紙左)、凛(表紙中央)、結奈(表紙右)。周囲から遠巻きに見守られる三人の中、沙羅が発言したのは悪質なスカウトから助けてくれた人がいる、という運命的な出会いのお話。

 

だがその相手である、同じクラスの目立たぬモブ、晴也は焦りに焦っていた。とにかく目立ちたくない彼にとって、その話題から注目を集めるのは絶対に避けたい事。その根底にあるのは、沙羅の認識との噛み違い。それを知らずとも、一先ず何も起きて欲しくない彼はフェードアウトしようとするも、沙羅との縁は彼が望まないのに、繋がっていく。

 

「・・・・・・お礼をさせてください」

 

また彼女を助けた事で、縁が繋がり。まるで仮面を被ったままで交流するかのように。少しずつ沙羅の方が晴也の正体に迫っていき、晴也もまた関りを続けていく事で、沙羅の思いに触れていく。

 

「それくらい俺は気にしないし、気にしちゃいけないからな」

 

「・・・・・・一緒に戦おう」

 

周りの事をきちんと見ている、だからこそのいい所を持っている彼女。そんな彼女は由緒正しき実家の柵に捕らわれ、望まぬ縁談に挑もうとしている。だけどその心の奥底、隠れていた彼女だけの本心を晴也は引き出し。彼女の隣に立ち、彼女の父親に彼女の良さを力説し、彼女に勇気を与えて一歩を踏み出させる。

 

そんな彼の頑張りは、沙羅の両親にも認められていく。しかし彼が求める所は己の身の平穏。そこに繋げようとしているだけなのだ。

 

繋がって結んで、沙羅の心を繋いで。しかし忘れてはいけない、この作品はハーレムラブコメであると言う事を。凛と結奈もまた、それぞれの立場で晴也と繋がっている。だからこそ、ここからなのである。そこに恋が芽生えて、初めて本当の始まりなのだ。そこまで是非、拝みたい次第である。

 

お互いの正体を知らず、まるでアンジャッシュのような状態で繰り広げるラブコメである今作品。ちょっと捻ったラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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