読書感想:高校全部落ちたけど、エリートJKに勉強教えてもらえるなら問題ないよね!

 

 さて、日本と言う国は学歴社会、学歴主義であり、卒業している教育機関が後半の方に行けばいくだけ、将来の選択肢は広まっていく。故に例えば、最終学歴が中学校、所謂中卒、という立場だと仕事の選択肢はかなり狭まってしまう訳であるが。正直、社会に出てしまえば学歴なんぞどうでもいいものである、というのが社会人九年目の私の見解である。

 

 

そう、学校と社会と言う枠組みは違う。社会に出てしまえば、最後に問われるのはその人の学歴ではなく実力。中卒の人が凄い技能を以て活躍している事もあるし、逆に大卒の人が仕事で役に立たず、やっかまれたりすることもあるかもしれない。では、なぜ人間は勉強をするのだろうか。例えば古文、または数学。社会に出れば多分、多くの人が使わないであろうその知識を身に着ける為、何故勉強しなければいけないのだろうか。その理由に関しては、まぁ考えても分からぬかもしれない。しかしこの作品における登場人物達はそんな何かを考えながら動いている。そんなお話である。

 

中学一年生の最初のテストで学年最低点を叩きだして以降、勉強に向ける情熱を失ってしまった少年、しげる。当然受験勉強においても勉強する事はなく、当然公立高校に受験は失敗し。名前を書くだけで合格できると言うド底辺、ド田舎の高校への受験へ向かう中。同じ電車に乗り合わせた少女、澪音(表紙左)が受験票を落とすのを見てしまい。やむを得ず電車を下車して受験票を届けたら、受験に間に合わず、結局全部落ちて浪人となる事になり。叔母である巫女子が経営するアパートで、勉強をしながら一人暮らしをする事となる。

 

「一緒に頑張ろうよ。私、勉強教えてあげるから!」

 

同じアパートの住人であり中学生でありながら一人暮らしをするまゆり(表紙右)に浪人さんと呼ばれたりする中、同じアパートに引っ越してきた澪音とも再会し。一緒の学校に通おうと誘ってくる彼女の熱意に誘われ、同じ高校の受験を目指す事となる。

 

しかし、やはりしげるの学力は壊滅的で、まゆりに呆れられたり。模試を受けてみても、当然澪音の通う高校への合格には程遠く。そんな中、その高校に新たな学科が出来ると言う話に希望を見出し、さらにご褒美で釣られながら。ご褒美と言う目の前に釣られた勉強は、少しずつ前向きとなり。知らぬ間に彼の中に、熱が灯っていく。

 

 

何故勉強するのか、その理由を探して。まゆりに諭され、巫女子に告白を受けたり、澪音と一緒に学校に忍び込んだりする中。彼女達の思いに触れ、少しずつ、かれのなかで思いが高まっていく。

 

 

「その目標をクリアできれば、その先何があっても頑張れるような気がするんだよ」

 

自分の中に芽生えた想い、その先に見えてくる、今まで見えていなかったもの。澪音の体調不良と言うアクシデントを乗り越え向かう模試、そこで待っている結果とは。

 

 

賑やかなやり取りが心に面白さを運んできてくれるこの作品。心を元気にしたい方は是非。

 

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

高校全部落ちたけど、エリートJKに勉強教えてもらえるなら問題ないよね! (講談社ラノベ文庫) | 日ノ出 しずむ, かれい |本 | 通販 | Amazon