読書感想:中卒探索者の成り上がり英雄譚1 ~2つの最強スキルでダンジョン最速突破を目指す~

 

 さて、この世界には「学歴」という言葉と「学歴社会」という言葉がある。残念ながら今の社会においてはまだmだ学歴が求められる事が多く、学歴こそがどれだけよりよい会社に所属できるか、という指針になっている事も多々ある。しかし、実のところ、社会に出てしまえば学歴なんてものは生きていくには関係がない。大切なのはどれだけ成果を出せるか、どれだけ役に立てるか、ただそれくらいである。

 

 

しかし、現実に言えば学歴が一番下、中卒だったりすると様々な面で苦労する事がまだ多い。就職だって制限されてしまう。ではどんな仕事ならばつけるのであろうか。

 

「・・・死にたくねぇなぁ」

 

 この作品中の世界に於いては、その選択肢の一つとして挙げられるのが「探索者」である。七つの国に七つの隕石が落下し、数々のダンジョンが発生したこの世界。その片隅で、実家を放逐された事により中卒ながらも探索者として生きる少年、ハヤト(表紙中央)。しかしダンジョンを支配した圧倒的な資本主義に阻まれ、「詰み」レベルまで陥った彼は、自死を選ぼうとしていた。

 

だがそんな彼を拾う一つの影があった。その名はヘキサ(表紙右)。彼の命を救う形で融合した彼女は、ダンジョンがあと一年でこの星を食いつくす寄生虫であると告げ。彼女に唆される形で彼は、本格的にダンジョン攻略へ挑む事となる。

 

彼女に与えられた二つの力、あらゆる場面に対応可能な「スキルインストール」のスキルと、己の分と想像の中で、どんな武器でも生み出せる「武器創造」の力。二つのスキルと、藻掻く中で知らぬ間に身に着けていた状況判断力が力となり。本当の意味で武器を手に入れた事で、彼は成り上がりを始めていく。

 

心配してくれた周囲のオトナを見返す程に早く、そして探索の中で掴んだ成果はお金に変わり。事故物件に住み家具も電気もガスもない中で魔物を食って生きていた彼の生活レベルを、驚天動地の勢いで変えていく。

 

積み上げていく戦果が招くのは、新たな出会いもその一つ。奉仕種族である少女、エリナ(表紙左)とひょんな事から契約を交わし面倒を見てもらい。更には現役アイドルでもある探索者、ユイとひょんな事からバディを組み、初めて誰かと一緒に探索したり。

 

 

 初めての経験が、彼の心の中の燻っていたものに火をつけていく。停滞と言う逃げに徹していた彼の心を前を向かせていく。立ち向かう勇気を与えていく。

 

「だから、次は俺が救う番だろ?」

 

そう、今まで自分は皆に救われてきた。皆がいたから生きてこれた。ならばその恩、今こそ還す時。立ちはだかるのは招かれざる下層からの来訪者。上等ではないか、見せつける相手としては。凛とした覚悟で炎を宿し。ハヤトは果敢に挑んでいく、倒れた仲間達を救うために。

 

王道的な面白さと心の成長、その輝きがある本作品。ダンジョン攻略(ハードモード)な作品が読みたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

中卒探索者の成り上がり英雄譚 1 ~2つの最強スキルでダンジョン最速突破を目指す (HJ文庫) | シクラメン, てつぶた |本 | 通販 | Amazon