読書感想:極めて傲慢たる悪役貴族の所業 II

 

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読書感想:極めて傲慢たる悪役貴族の所業 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 

 さて、前巻で何者かの意識が転生を果たし、才能だけの怪物であった中に努力、という方向性を通してしまった事で、本物の怪物のような力を持ったこの作品の主人公、ルークであるが。普通の転生もの、と少し異なる点としては、あくまで意識はルークのものなので、彼からすればこの先の展開は分からない、という所だろうか。分かっていれば備えることはできるが、分からないから備える事も出来ない。

 

 

しかし、彼の周りには、その輝きに惹かれた、またはその輝きに屈服した者達が集まり、既に派閥が築かれ始めている。そしてルークの弱点、のようなものとして、傲慢で悪役であっても、芯から悪役、とは言えぬという部分があろう。押しには弱いし、守るべき手元に入れば、一応面倒は見る。その辺りの善性が、彼が単純な悪役ではない理由である。

 

「・・・・・・疲れた」

 

自分にキラキラとした目を向けてくるアベルと、おまけのリリーを拒む事もなく。ミアに魔法を教えて、発破をかけてみればうまい飴と鞭になってしまったり。やはり原作知識は曖昧なまま、故に周りの人物達が歪んでいき始めているのは自分のせいと察しはしているも、とりあえず勝利し続けることが重要と思い直す中。序列戦にて上級生でもありこの国の第二王子でもあるポルポンと激突する事になり、序列一桁を目指すと言う彼の心を、完璧にへし折る形で勝利し。その戦いの後、「魔王」という異名を付けられる事となる。

 

「―――僕が、君の『駒』になるなら手を貸してくれるのかい?」

 

しかし、ルークの中、嫌な予感は収まらなかった。それは転生により得たものか。その通り、ポルポンが魔法を教えて欲しいとやってくる、というどう考えてもアベル絡みであろうイベントが巻き起こり。倦んだ王国を改革したい、という彼の理想を聞くも手を貸すことは拒み。だが元々ミアが余計な一言を言ってしまっていた事で、更に予想外な一言が飛び出し。更に胃が痛みだす中、より面倒な事態は巻き起こる。

 

突然襲い来た、ルークを攫わんとする刺客。夜闇に紛れ襲い来た刺客を難なく片付けるも、警備体制の不備の見直しのために学園が無期限の休校となってしまい。学園を潰そうとするクロードを宥め、ミアとの婚約も決まって。一先ず隣の帝国で行われる祭りに参加する為、真剣を手に入れ冒険者となる中。何者かに操られた氷竜の襲来、という更なる厄介事が巻き起こる。

 

「誰も手出しすることは許さん。―――この竜は俺一人でやる」

 

だが、それもルークにとっては既に歓迎すべき、試練。 周りの者達を下がらせ、単独で氷竜に挑み。圧倒的な力で氷竜を平伏させるのだ。

 

 

物語の裏、ルークを狙う敵の影が蠢きだす中、彼の覇道が止まらない今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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