読書感想:転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます5

 

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読書感想:転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて前巻で自らの分身とも言えるホムンクルスの少年、イドへの鬼畜な所業が判明したロイド君であるが、画面の前の読者の皆様はこう思われではないだろうか。果たして彼を叩いて出る埃が、本当にそれだけであろうか、と。無論そんな訳はない。分かっていた事である。自分の興味と探求心の為なら容易く倫理観も無視する彼が、何もやらかいていない訳もないと。

 

 

そう、やらかしである。しかも今回のやらかしはある意味で自業自得であり、今までで一番のやらかしと言っても差し支えないのだ。

 

 一体彼は何をやらかしてしまったのか? それを語る前にまずは今、サルーム王国に訪れた未曾有の危機について触れなければならぬ。その名は「大暴走」。総勢百万もの暴走する魔物が今、王都へと進撃しているのである。

 

その危機を前に通常は最前線で軍の指揮を執る二人の王族、第一王子のシュナイゼル、第一王女のクルーゼが帰還し。彼女達の軍を中心とし、北方に作られた巨大な砦、「大陸門」を舞台とする防衛作戦の検討が始まる。

 

「よい」

 

 その軍議の中、何故かロイドはシュナイゼルの一言により残され。あまつさえ期せずしてシュナイゼルに素質を見せてしまった事で彼は、アルベルトの副官として戦場に出る事となってしまう。当然それをよく思わぬ者もいる。その名はサイラス。アルベルトの部隊に配属された魔術の名家の者である彼の策略により、ロイドの元には僅かな手勢しか残されなかった。

 

「大丈夫、何も問題ないよ」

 

しかし彼にとっては何も問題もない。何故なら彼だけで一万の兵の代わりは準備できるから。更には元暗殺者ギルドの面々やイド達、更には冒険者達と言った今まで縁を繋いできた者達、ついでとばかりにタオもまた彼の元へと駆けつけ。更には軍師として山を支配していた盗賊、マルスとその手勢たちを味方に加え。大軍勢を従え、ロイドは戦場に立つ。

 

 彼にとって、その争乱の場は絶好の実験場。何でも出来る、相手には事欠かぬ絶好の遊び場。味方を率い遊撃として飛び回り。その中でまるで水を得た魚と言わんばかりにロイドは、覚えたての数々の魔術をこれでもかとぶっ放していく。

 

「あちゃー」

 

そんな彼がいるからには負けはあり得ない。ではなぜ此度の騒動は巻き起こったのか。それもまたロイドのせいである。彼が過去に行った、倫理的に視るとまあどうなのかという行いが今回の事態の引金となってしまっている。しかしロイドは反省しつつも新たな利用法を考え、結果的に引き金となったダンジョンを掌握してしまうのである。彼だけの実験場として。

 

前巻とは違い軍団での戦いと言う面白さのある中に、やっぱり変な笑いのある今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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