読書感想:隣の席のヤンキー清水さんが髪を黒く染めてきた2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:隣の席のヤンキー清水さんが髪を黒く染めてきた - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の最後、過去の一端を思い出した事で大輝と圭の中でそれぞれ思いが変わり出して、二人の関係は少しずつ変わりだす気配を見せ始めた訳であるが。まっすぐに進んでいく、けれどもどかしいこのラブコメがそう簡単に、いきなり前進していく訳もない。なので今巻もまだまだもどかしい。けれど少しずつ、今巻でも特別になっていくのである。

 

 

 

「いやさ、考えてみたけどやっぱ脈ありなんじゃないかと思って」

 

前巻の最後、体育館裏に大輝が駆けつけてくれた事で、彼女の中にある仄かな思いはより高まって。どうすれば彼に好きになってくれるのか、という悩みをクマのぬいぐるみにぶつけてみるけれど返ってこなくて、それどころか愛に聞かれて揶揄われたり。

 

「何か僕に言いたいことあるんじゃない?」

 

そんな中、愛とその腐れ縁の関係である生徒会長、陽介の所属する天文同好会に二人して所属する事となったり。天文同好会のもう一人の部員であり、大輝の友人である俊也に思いを寄せる同級生、澪の相談に乗る事になったり。今までは、圭が大輝と俊也の話を盗み聞きするだけだったけれど、今度は級友の恋愛相談に乗る、という事で魍一つの恋に関わる事となったりしながら。二人の関係は、初めての天体観測、その前に立ち塞がるテストへ向けて少しずつ前進していく。

 

大輝が好きな髪型を盗み聞きして、次の日にはその髪型に変更して来たり。澪の相談に乗る大輝の様子を見て、勘違いから初めてのやきもちに駆られたり。それでも圭もまた、澪の相談に乗る事となって。どら焼き大好き、どこかズレた価値観を持つ彼女に振り回されたりする中。少しずつ外へと関係が大きくなっていくと同時、二人の関係も少しずつ深まっていくのだ。

 

「天文部のみんなと一緒にいる時間も楽しいけど、清水さんと二人だけのこの時間も結構好きかも」

 

王様ゲームで大輝が圭に壁ドンしたり、変わり種のたこ焼きをあーんしてみたり。大輝の妹である輝乃と、圭が話し合う事となったり。関係が大きくなり、一人が二人に、さらにもっと多くなっていく中で。皆と一緒の時間も楽しいけれど、二人の時間も好きだと言う、素直な思いが口に出る。何気ない時間が特別となって、当たり前となっていくのである。

 

更に深煎り、恋のコクが高まっていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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